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持続可能な未来をつくる人を育てる自治体の行動力

 私が東川町を知るきっかけとなったのは、「君の椅子」という東川町で誕生した子ども達へ旭川家具の職人により製作された手作りの椅子を贈る”誰も取り残さない社会づくり“に貢献するプロジェクトだ。この椅子には、「ようこそ。君の居場所はここにあるよ」というメッセージがあり、手作りの椅子を通じて子どもの成長をあたたかく見守りたい、そんな願いが込められている。現在、この取り組みの輪は6町村に広がり続けている。
 
 東川町は人口約8000人の小さな町であるが、自治体が独自のアクションを起こしていることから移住者が増え、持続可能性のある“街づくり・人づくり”を実践しており、子どもの教育や国際交流にも力を入れ、地域全体で未来を担う子どもたちの成長を支えている町である。移住する子育て世代を受け入れる体制・設備の充実や多様な人との交流の場と機会を創り、多様なライフスタイルを尊重する取り組みを自治体が中心となって取り組んでおり、誰もが暮らしやすい持続可能な社会を築くために重要な役割を果たしている
今回のレポートでは、多様な人々が暮らしやすい環境づくりのモデルとなる施設を2つ紹介させていただきたいと思う。
 
① 東川町地域交流センター」
町内にあるこの施設は東川小学校と併設しており、学童保育センターや交流プラザ、スポーツ施設が充実した東川ゆめ公園も備わっている。
東川小学校は、建物は平屋で極力電力を使わない構造で、ソーラパネルを設置し、また、地元の木材を使用し、水道水は湧き水や雪解け水を利用している循環型の小学校である。
学校が終わった後、子どもたちは併設されているセンター内で元気に遊び、学ぶ環境が整っている。保護者も安心して仕事と家庭を両立させることができるので、利用したいという声が多いと言う。また、敷地内には体験農園もあり、子どもたちがお米や野菜作りを体験し、収穫された食材を学校給食で使用することで子どもの食育にも取り組み、地域の食材を大切にする郷土愛も育んでいるのだ。
そして子どもだけではなく、町民ならだれでも小学校の図書館や体育館などを利用することができるなど、一般にも開放され、“地域と住民をつなぐ”重要な場となっている。また、隣接して「子育て支援センター」、「幼稚園」、「保育所」が一つに集約されている“ももんがの家”という施設もあるなど、未来を担う子どもたちの成長を地域が見守る場となっていることから、東川町の子どもへのあたたかさを感じた。
 
② 東川町文化芸術交流センター」
この施設は旧東川小学校を改修し多様な文化交流の拠点として、コミュニティカフェ、ギャラリー、宿泊施設等が一つになっており、東川町の人々の交流の場となっている。
その中の一つに全国で唯一の、自治体が運営する“東川町立東川日本語学校”が2015年に開校された。台湾・中国・ベトナム・タイなど様々な国・地域の留学生を受け入れ、その数は3年間で100名程になる。更に、町にはJETプログラムの外国人職員が10名以上いるなど、国際的な人材が地域の教育に貢献している。町を歩く若者は外国人が多いという。
(※JET プログラムとは、語学指導等を行う外国青年招致事業(The Japan Exchange and Teaching Programme)の略で、外国青年を招致して地方自治体等で任用し、外国語教育の充実と地域の国際交流の推進を図る事業)
 留学生と地域住民の交流にも力を入れ、地域行事や料理イベントへの参加など、相互理解を推進する交流の場を設けている。しかし、交流は一部の住民に限られており、課題はあると言う。実際に私も国際交流団体に所属しているが、留学生と地域の人との交流となると国際交流に関心がある人が多いという状況は同様の課題であり、あらゆる世代の人に関心を持ってもらえるように発信し続けていきたいと考えている。
このような施設や交流の場を積極的に設けることによって、地域住民は外国人との交流を通して多様な文化を学び、自国や地域についても改めて学ぶ良い機会が持て、多文化共生社会の実現の推進に向けての学びを生み出している。
 
今回、東川町を訪問し町の空気に直に触れ、あらゆる場で東川町らしさを学ぶことができた。町長が中心となり、町の職員の行動力と営業力で社会の変化に柔軟に対応し、あらゆる視点から地域住民・外国人等、様々な世代、地域を支え、町を皆で作り上げている一体感を感じた。東川町が起こしているアクションは、人々の生活に根ざした将来世代へ続く施策として他地域でも生かせる学びがたくさんある。

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訪問先

北海道上川郡 東川町役場企画総務課
北海道を代表する大雪山の山麓に位置し豊かな自然と田園的景観に恵まれた地域で、住民すべてが良質な地下水で生活している。また、世界初の「写真の町」を宣言し、毎年国際写真フェスティバル「写真甲子園」を開催し、国内はもとより、今では世界的にその名が知られている。
東川町ホームページ http://town.higashikawa.hokkaido.jp/

記入者

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齊藤 美悠(一般財団法人 北海道国際交流センター)
北海道函館市出身。短大を卒業後、北海道へUターン。所属団体において、留学生を対象とした北海道でのホームステイプログラムなどの国際交流事業を担当。団体のミッションである「多様性を共に支え合う社会づくり」をホストファミリーや留学生、関わる地域の方々と実現を目指している。
2015年から“大沼ラムサール女子会”のメンバーとして七飯町大沼の自然環境・食の恵みなど様々な魅力を発信している。