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人と街をサスティナブルな“箱”で繋ぐ

 私の暮らす街(函館)は、日本初の国際貿易港として横浜・長崎とともに開港され、早くから様々な国の文化の影響を受けた背景もあり、街の中には多くの和洋折衷の歴史的建造物がある。また、国内1,000の市区町村及び47都道府県を対象とした地域ブランド調査では、3年連続で最も魅力的な街として1位に選ばれ、観光地としても有名である。その一方、美しい街でありながらも空き家が多く、人口は減り続けている。
日本全体でも人口は減少し、都市部に人口が集中しているため、地方の少子高齢化が増々進んでいるという社会課題は深刻であり、将来世代のために私たちの世代が行動を起こさなければ地域の存続は今後さらに厳しい状況になってしまう。
 
どうしたら地域や暮らし、社会を変えることができるのだろうか。
函館市の西部地区で活動する「箱バル不動産」が取り組んでいる、持続可能性に着眼したプロジェクトから学ぶESDをこの場で共有したいと思う。
 
 近年、日本では“古民家再生”のように、リノベーションやDIY(Do It Yourself)が注目されているが、箱バル不動産が行う取り組みはただの“古民家再生”ではない。
空き家を活用した移住体験や他地域から講師を招いて地域の課題と魅力を共有し合うためのセミナーを開催する等、学びの場を提供し続けている。
地域の持続可能性を目指すためには「古いものを大切にし、守る」だけではなく、次の世代へ残していくためにも、多様な主体が課題を共有し積極的に行動を起こすことが必要である。また、この循環が地域活性化や課題解決へ繋がっていくことで、地域の持続や保全にもつながるのではないだろうか。
 
 箱バル不動産では、地域に住む人はもちろん他地域の人々も巻き込みながら様々な古民家再生プロジェクトを展開している。その一つに「Small Town Hostel Hakodate(スモール タウン ホステル ハコダテ)」の開業がある。この取り組みは、維持管理が困難になった築約100年の建物を再生し、地域と人をつなぐ宿にするというものである。箱バル不動産は、建築設計士や宅地建物取引士・古民家鑑定士・デザイナー等、多様なメンバーで構成されている。

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開業に向けては、クラウドファンディングを行い工事費の一部を賄った。これは資金調達だけが目的ではなく、地元を離れて暮らす人からも多くの支援を受けたことで地域と人の思いをつなぎ、DIYのサポーターとして地元学生や市民、道内外の人々の力を借り、地域材でもある道南杉や北海道産のホタテ貝を使った漆喰を利用したリノベーションに参加する場を設けることで、地域住民も活動への理解を深めている。

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クラウドファンディングやDIYでプロジェクトに関わることによって、一人一人が地域を思い、古いものを大切にするという事を体感することができ、自分にも地域や未来のためにできることがあると感じさせる学びもある。関心を持って関わることで人の心を動かす“学びの場”となっている。また、地域材に触れるなど身近な自然環境を知ることで、地域に愛着を持ち、地域の資源を大切に使うことが自然にできる人が育ち、地域を守り続けていくことができたら、人口減少や少子高齢化に負けない未来を創ることにもつながっていくのではないだろうか。
 
箱バル不動産の取り組みは地域社会の変革に向けた行動であり、「Small Town Hostel Hakodate」の開業により、地域情報を発信する重要な拠点として活用され、地域と人とをつなぎ、地域に住む人達の思いが込められた多様で豊かな場になると考える。
単に交流人口を増やす目的だけでは地域は持続していかないからこそ、この“箱”を通して地域の人や街を訪れる人が交流し、お互いが主体的で協働的な学び合いを継続していくことによって地域を支え、サスティナブルな街や人を創っていけるのではないだろうか。

訪問先

合同会社 箱バル不動産
地域資源でもある古民家などに新たな価値を見出し、その資源やお金がしっかりと地域で循環できる仕組みと、地域の未来を担ってゆく人材の育成、新たなコミュニティーの構築を目指している。
〒040-0053 北海道函館市末広町18-25

記入者

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齊藤 美悠(一般財団法人 北海道国際交流センター)
北海道函館市出身。短大を卒業後、北海道へUターン。所属団体において、留学生を対象とした北海道でのホームステイプログラムなどの国際交流事業を担当。団体のミッションである「多様性を共に支え合う社会づくり」をホストファミリーや留学生、関わる地域の方々と実現を目指している。
2015年から“大沼ラムサール女子会”のメンバーとして七飯町大沼の自然環境・食の恵みなど様々な魅力を発信している。