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それぞれの立場を生かしたボランティア活動

 最近、大学生との交流など全くなかったが、今年わたし自身が行ったボランティア活動では、大学生のボランティアの参加率が高く、一緒に活動するうちに、現代の大学生がどんな思いや願いをもってボランティア活動を行っているのか興味が湧いた。そこで、3項目の質問を大学生3人にし、その結果を以下にまとめた。
 
質問者について
・Oさん (大学4年生・新潟県)
 子どもと遊ぶボランティア活動を中心的に行っている。
・Tさん (大学2年生・秋田県)
 中国出身。国際交流に関するボランティア活動を行い、異文化紹介、異文化理解を行っている。
・Kさん (大学2年生・長野県)
 自身の大学で、クリーン活動を行う委員会を立ち上げ、去年までに4回活動している。
 
 
3つの質問
Q1、ボランティア活動を始めたきっかけを教えてください。

Oさん:小学生のときに中越地震で被災し、ボランティアに関心を持つようになったことがきっかけで、大学生になり、ボランティアサークルに所属して活動を始めた。
Tさん:自分が成長しているときに、周りの人に助けてもらったから、その恩返しがしたいと思い、ボランティア活動を始めた。
Kさん:地域の方と大学生の交流の場が少なかったので、その機会を作りたいという思いがあった。そのため、地域の方と学生の共同ゴミ拾いのボランティア活動を発足させた。

 
Q2、大学生として、自分がボランティア活動を通して、貢献できると思うことは何ですか。

Oさん:社会人と違い、スキル・経験ともに少ないという欠点はあるが、大学生はSNSなどを活用した、電波力や行動力があり、地域に限らず、大学を越えて活動できるという強みがある。ボランティアを通して得た経験を発信し、ボランティア先での出会いをつなげる架け橋として、ただボランティアを行うだけではなく、パイプ役として貢献できると思う。
Tさん:日本社会に対する理解を深めることができる。そこから出身国との違いが分かる。教科書では教えてくれないことを自分の体をつかって得ることで、この経験は異文化交流となり、留学生として、異文化交流の場で役立てる。
Kさん:清掃活動によって、今まで知らなかった街の様子について考えるようになり、環境意識を高めることができると思う。若い目線からの意見と地域に住む方の意見が合わさることで、地域の活性化ができると思う。

 
Q3、ボランティアを通して、社会をどのように変えたいと願っているか。

Oさん:理想は、学生、社会人、ボランティア、プロのボランティア集団であるNPOやNGOが融合し、お互いが補完できる形で社会に根付くこと。
Kさん:地域の方との交流や街の清掃により、地域の魅力を発見し、他の地域の人や自分の友人にそれを伝えることで、より多くの人に街を好きになってもらいたい。このような機会を通して交流することによって、地域の中に今までなかった新しいアイディアが生まれ、さらにその新しいアイディアが最終的には地域の活性化につながることを願っている。

 
考察
 今回は、新しい気づきを紹介することができたと思う。
 持続可能な社会を形成する地球市民の中でも、注目すべき人材は、ユースリーダーとなりうる大学生から若い社会人である。そんな大学生が、私たちの気付かなかったところで着実に活動を経て、得た学びを社会に発信していることを忘れてはいけない。彼らの活動は、SDGsの17番目の目標である「パートナーシップで目標を達成しよう」の達成に近づく。国内外でユース世代が繋がり、共通の願いをもって活動することが可能になりつつある今、大学生のボランティア活動は重要な役割を果たすと思う。
 
 Oさんが言っていたように、私も彼女と出会えたことで、新しい活動に興味を持ったり、自分の活動を紹介したりして、仲を深めることができた。パイプ役としての大学生との交流を通して、ボランティア活動がより充実したものになると実感した。
 また、Tさんは、自分の出身国である中国では、ボランティア活動に参加する人が少なく、その原因としてあげられるのはボランティア活動をしたい人に対しての情報提供や広報活動の弱さを指摘していた。そこで、私の地元のボランティア雑誌やホームページを検索すると、「即ボラ」、「ボラみみ」といったボランティア情報がネット上でも、広報誌でも、すぐに手に入る。日本国内においては、ボランティアの担い手はいつでも大募集なのだ。今後は、さらにボランティア経験などを伝える場を得て、通信の力を借りて、発信し、地域や世界に目を向ける人材を育成していく必要があるだろう。
 
 今回、大学生のボランティアに対する熱意が強いことに正直、驚いた。ボランティア意識の高い大学生の存在が励みとなり、私は自分の職場である中学校で、生徒に対して、「将来こんなボランティア活動をしたらどうか。こんな大学生に出会った。将来、時間を使って活動をしてみたらどうか。」と紹介することができた。さらにボランティアに興味を持つ、中学生や高校生を増やしていきたいと思う。私自身、今後も県境を越えたボランティア活動に参加し、仲間の輪を広げ、社会人レポーターとして、発信していけたらよいと思う。

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  インタビューした大学生と出会ったボランティア活動。
  外国人参加者と日本の文化である「縁日体験」しながら互いの文化を学びあった。

訪問先

記入者

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野村 佳世
(岐阜県岐阜市境川中学校教諭/Go4BioDiv日本人メッセンジャー/ESD Poca Pocafe in GIFU)
 2005年、愛・地球博に参加して以来、開発教育の研究を行う。一般企業に就職するが、開発教育を教育現場で実践し、広めたいという願いから、岐阜県の教員になる。海外生活の経験や語学の堪能さを生かし、社会科・外国語を担当し、開発教育・ESDの実践を行っている。2010年COP10では、Go4BioDiv日本人メッセンジャーの代表として、各国のユースと世界遺産保護について考え、発表する。その後、ユース・コンファレンス、JICA教師海外研修などに参加し、国内外で、開発教育・ESD・SDGsの実践を発信している。2017年より岐阜県内の外国人留学生や教員とESDの実践について、語り合う会“ESD Poca Pocafe in GIFU”を定期的に行っている。