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みんなでESDをすすめ、みんなで未来をつくるために。

これまでのESDの10年間で得られた成果、残された課題とこれからの10年ですべきこと。
 
 今回のESD推進ネットワーク全国フォーラムでは今後ESDを推進するにあたって、これまでの10年間を振り返りつつも、これからの10年間の方向性が見えてきた。私が強く感じたことは、ESDを継続させ、SDGs(Sustainable Development Goals, 持続可能な開発目標)を達成させるため、より多様なステークホルダーの参加と仕組みづくりが必要であることだ。
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 まずは若い世代の参加、発信が必要である。長期的にESDを進めていくうえで若者を支援していくことが必要とフォーラムの中で挙げられていたが、同時に過去10年間の課題でもあった。ユネスコによると若者世代(ユース)は18~35歳と定義されている。高等教育においてESDが取り組まれつつあることから、18~24歳の参加は増えつつあるが、20代後半~35歳までの若者参加が不十分である。この世代は高等教育を受け、かつ社会経験も積んでいる世代である。また近年では大都市圏から地方部への移住を希望する若者も増える傾向にあるという。こうした若者たちが活躍できる場、経験を活かせる場を増やす必要があるが、そのための手法として雇用を生み出すことが必要である。
 近年では様々な社会課題を解決するための、ソーシャルビジネスがたちあがるなどの事例もある。SDGsには「誰も置き去りにしない」をコンセプトに17の目標が盛り込まれ、途上国の飢餓、就学率、保健衛生の改善だけでなく、エネルギー供給や生物資源の保護、気候変動対策、雇用の改善など、日本においても他人事として看過できない問題も含まれている。また、国としても副業を解禁したり、大手企業も副業を容認する動きも出てきているなど、社会全体としてライフスタイル、時間の使い方に関する認識が変わりつつある。
 
 このような背景のもと、社会の担い手である20代後半、30代の新しい生き方、社会との関わり方を見出す一つの方法として、会社とはまた違うコミュニティと関わりつつ、地域の課題解決にも取り組みながらビジネスとして成り立つESD活動も生み出していく、という形がある。私自身、これまでボランティア要素が強かった活動からの脱却を目指すために、自分自身の活動フィールドである岡山の京山地区でそのようなビジネスモデルをつくっていきたい。
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 また民間企業の参加も不可欠である。フォーラム終盤のグループディスカッションの中で、民間企業のESDへの参加としては一部の大手企業がCSR活動の一環でESD活動に参加したり、若手人材を送り込んだり、資金や衣服、食糧を寄付することに留まっている現状がある一方で、企業も生き残るためにSDGsやESDの要素が必要で、ベンチャー企業やNPOなどが本業としてESDに取り組むことも期待できるとの意見も出てきた。
 ESDの現場では活動を継続させるにあたって、リーダーやコーディネーターの育成、引継ぎ、資金確保などの問題がある。ここでは民間企業が培かってきたそれらのスキルを各種ESD事業に提供する形でも貢献できるのではないかと思う。
 
 ESDは老若男女、立場や職種に関係なくみんなで進めていくものであるが、まだまだESD自体が広く認知されていないのが現状である。その一つとしてESDの定義が広すぎて、何をすればESDなのかが分かり難いのが大きな原因として考えられる。まずはESDとは何かを広めていくことから始めるが、もともとESDの要素を含んだ活動が各地で多数展開されている。こうした活動をESD的な視点で掘り起こし、ESDをより認知されるよう実践例や定義を提示し、これまで以上に発信していきたい。

訪問先

ESD推進ネットワーク全国フォーラム2016

記入者

井上 紘貴(岡山市京山地区ESD推進協議会)