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科学の統合(United in Science)報告書

ユナイテッドサイエンス

【情報源】
WMO website
【名称】
科学の統合(United in Science)報告書
【形態・形式】
報告書
【著者・講演者または発行者】
世界気象機関(WMO)ほか
【発行/公表時期】
2022年9月13日
【背景・目的】
2022年9月13日に 世界気象機関(WMO)は、複数機関の協力による新たな報告書(United in Science)を公表した。この報告書は、毎年気候変動に関係する機関が協力して出版するものであり、気候変動に関連する最新の科学の概要、その影響と対応をコンパクトにまとめて提供するものである。報告書は、排出量を緩和し、変化する気候に適応するために緊急の行動が必要であると強調している。
この報告書には、WMO(及びそのGlobal Atmospheric Watch:GAWと世界気象研究プログラム)、国連環境計画、国連防災事務所、世界気候研究計画、グローバルカーボンプロジェクト、英国気象庁と都市気候変動研究ネットワークが貢献している。また、IPCC第6次評価報告書からの関連するメッセージが含まれている。
【概要】
キーメッセージ
• 大気中の温室効果ガス濃度は上昇し続けており、化石燃料の排出量は、2020年と2021年のCOVID-19パンデミックに関連するロックダウンによる一時的な低下の後、パンデミック前のレベルを超えています。
• 近年、記録的な高温と海洋の暑さが見られました。将来を見据えると、今後5年間で少なくとも1年間に、年間平均気温が一時的に1850-1900年よりも1.5°C (78 °F) 高くなる可能性が48%あります。
• 現在の各国による緩和の約束はパリ協定の達成には不十分です。転換点として知られる気候システムの不可逆的な変化の可能性を高めている継続的な温暖化を防ぐためには、強化された行動が必要です
• 世界中の何十億人もの人々が気候変動の影響にさらされています。人為的排出の最大70%を占める都市は、社会経済的影響の増大に直面し、最近の異常気象に見られるように、世界で最も脆弱な人口が最も苦しむでしょう。
• 適応は、気候への影響に対するリスクを軽減するために不可欠です。早期警報システムは、人命を救い、損失と損害を減らし、災害リスク軽減に貢献し、気候変動への適応を支援することができます。この報告書によると、気候科学では以下の点が明らかである。
・:私たちは間違った方向に向かっている。私たちの願望と現実の間には巨大なギャップがある。
・もっと野心的な行動がなければ、気候変動の物理的および社会経済的影響はますます壊滅的になる。
・温室効果ガス濃度が過去最高まで上昇し続けている。化石燃料の排出率は、ロックダウンによる一時的な低下の後、パンデミック前のレベルを上回っている。2030年の排出削減約束に向けた野心(ambition)は、パリ協定の1.5°C目標を実現するためには7倍にする必要がある。
・過去7年間は記録上最も暖かくなった。今後5年間のうち少なくとも1年は、年間平均気温が一時的に1850-1900年の平均よりも1.5°C高くなる可能性が48%ある。
・地球温暖化が進むにつれて、気候システムにおける「Tipping Points(このレベルを超えると急激な悪化が進む分岐点)に到達する可能性を排除できない。
・何十億人もの人々が暮らし、人為的排出の最大70%を排出する(世界の)都市部は、社会経済的影響の増大に直面するであろう。世界のさまざまな地域での異常気象の例から、最も脆弱な人々(most vulnerable people)が最も苦しむだろう。
アントニオ・グテーレス国連事務総長は以下のように述べました。
・洪水、干ばつ、熱波、極端な嵐、山火事は深刻な状況から、驚くほどの頻度になり記録破りの最悪の状況になるだろう。ヨーロッパの熱波、パキスタンの激甚な洪水、中国・アフリカの角(つの、アフリカ北東部)・米国における長期的かつ深刻な干ばつなど、これまでにない規模の災害は自然現象ではあり得ない。これらは人類の化石燃料中毒の代償である。
・今年の報告書は、気候への影響が未知の破壊の領域に向かっていることを示している。しかし、毎年、状況が急速に悪化しても、私たちはこの化石燃料中毒を倍増させている。
WMO事務総長のペッテリ・ターラス教授は以下のように述べています。
・気候科学は、私たちが経験している極端な気象現象の多くが、人為的な気候変動のために、より可能性が高く、より激しくなっていることをますます示している。私たちは今年もこれを繰り返し見てきたが、既に悲劇的な影響が生じている。脆弱なコミュニティにおける現在および将来の気候リスクに対するレジリエンスを構築するために、早期警報システムに関する行動を拡大することがこれまで以上に重要になっている。だからこそ、WMOは今後5年間にすべての人に早期警告を確実にする取り組みの先頭に立っている。
【対象】
気候変動問題について、包括的に、しかしわかりやすく知りたいと思う全ての人
【入手方法・価格】
以下のURLから無料でダウンロード可能。
https://library.wmo.int/doc_num.php?explnum_id=11308
【問合せ先】
WMOメディアオフィサー クレア・ヌリス(cnullis@wmo.int)、電話番号 41-79-7091397

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