「ジブンゴト」×「誰かのために/何かのために」
ESDユース(ワカモノ世代)のメンバーと話をしていると、たびたび話題に挙がるのが「北九州まなびとESDステーション」である。九州のESD活動の拠点となっている「魅力」やその「仕組み」そして多様な活動について取材をするため、北九州へ向かった。
「北九州まなびとESDステーション」は、商店街の中にオフィスがある。商店街の活気が溢れる中にESDの拠点があることを実際に見ると、「何かが生まれる予感」を感じさせる「わくわく」を感じた。
まさに、「あつまる、ひろがる、動き出す。」
『学びたい人が自由に学ぶ場所。まち全体を教室に、だれもが先生に、生徒になれる場所。人があつまり、ひろがり、新しいことが動き出すプロジェクトです。』という北九州まなびとESDステーションが掲げているコンセプトと合致している。
オフィスの中に入ると、北九州まなびとESDステーション 特任教員 宮原 昌宏氏が温かく迎えてくれた。
北九州まなびとESDステーションは、平成24年度、様々な専門分野を持つ市内の大学が協力し、地域と環境をテーマに情報の発信、生活の場面での課題の発見と解決に向き合う共通のセンターとして、市の中心市街地に参加10大学が協働する地域活動拠点として設置された。現在、大学の教員や学生だけではなく、地域や企業、そして住民がそれぞれの垣根を越えて取り組みを進めている。
その中でも、今回は取り組みの一つである「My Project Start up Camp 九州カイギ2017」(以下、九州カイギ)について話を伺うことができた。「誰かのために何かのために勇気を持って一歩を踏み出すきっかけを届ける」ことを目的に、9月16~18日の日程で開催された。九州カイギには、中国・九州エリアの高校生56名、大学生6名。そして、応援する大人・大学生が29名参加した。今回の取組の成果として、参加者は、自分自身のプロジェクトについて大人ファシリテーターと相談しながら、考えを深めた。最終日には、マイプロジェクトを宣言した。それだけではなく、今回の九州カイギで、「大人・企業)」の参画が重要かつ今後につながる成果となったようである。地域に住む若者を支える・応援する地域の大人との関わりが持続的な地域の在り方に繋がっていくと感じた。
「『My』であることが大事だと思うんです。」
取材中、宮原氏がそう話すと、続けざまに、
「與儀さんは、なんで?この活動(ESDレポーター)しているの?」、「どうつながっているの?」と逆に質問を受けた。そのとき、これが「My project」での大人の役割であり、その「My」の想いが強いほどにアクションにつながるのだろうと察した。
「My」=「ジブンゴト」。
宮原氏の話を聞いていくうちに、持続的な取り組みの方程式を思い浮かべた。
「ジブンゴト」×「誰かのために/何かのために」=持続的な取り組み
多様な人が集まり、自分の思いを語り、具体的に行動を興すという取り組みは、まさに「学び合い」、「協働」であると感じた。企業(地域)とワカモノが繋がることで、具体的にどのような事が生まれるのか。そして、取り組みに関わる大人(企業)には、どのような利点があるのかについて考え、アクションを起こすことは、今後のESD普及・浸透には、不可欠な要素ではないだろうか。
九州カイギは、企業や行政、NPOなど様々な立場の大人がワカモノと関わり合いながら取り組まれている。ステーションが両者をつなげ、あらたな「未来」、持続的なまちづくりが実現されれば、ESDや持続的な取り組みは、ますます注目を集めるのだろうと感じた。
今回の取材を通して、ESDに関わる「ユース世代」が、北九州まなびとESDステーションについて、熱く笑顔で語る「ワケ」がわかった。やはり、ひとが出会い、プロジェクトが動くとき、それを繋げる「ひと」がいるということだ。
すっかり、「北九州まなびとESDステーション」と宮原氏のファンになった私である。
みなさんも、ぜひ訪れてみてはいかかでしょうか。
訪問先
北九州まなびとESDステーション北九州まなびとESDステーションは、平成24年度、様々な専門分野を持つ市内の大学が協力し、地域と環境をテーマに情報の発信、生活の場面での課題の発見と解決に向き合う共通のセンターとして、市の中心市街地に参加10大学が協働する地域活動拠点として設置された。
記入者
與儀 滝太(独立行政法人国立青少年教育振興機構 国立山口徳地青少年自然の家)
大学在学中から地域でワークキャンプや野外フェス等の企画・運営に参加。
大学卒業後は、沖縄県立の青少年教育施設にて勤務。学生ボランティアコーディネーターや留学生交流事業を担当。
第2回ESD日本ユースコンファレンスに参加。平成29年4月より現職。
ネットワークの構築・深化に重きを置いて活動中。