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- 教育研究機関
発表日:2025年4月4日
出典:Teachers College, Columbia University
【調査の背景と主旨】
Teachers College(コロンビア大学教育大学院)内のサステナブル・フューチャーズ・センターは、ニューヨーク市公立学校との連携による調査研究を通じて、気候変動教育の現状と教育者の支援ニーズに関する新たな知見を発表しました。研究成果は、2025年に開催されたMidwinterClimate Instituteで紹介され、「教育は気候変動への解決策であり、優先事項であるべき」という立場を明確にしています。
【教育現場における課題と感情的側面】
報告によれば、気候変動教育の重要性が広く認識されつつも、現場では依然として複数の障壁が存在しています。多くの教員は、「自分の教科内容と気候変動が直接関係しない」「教材が不足している」「十分な準備ができていない」「扱いが難しいと感じる」などの理由で、気候変動教育の導入に慎重な姿勢を示しています。
加えて、気候不安や無力感など感情面が授業の導入を妨げていることも指摘されており、研究者はこうした「情動的側面」を理解し、教員が自らの感情を扱えるよう支援する必要性を強調しています。
【教員支援の必要性と具体策】
調査では、教員が気候変動教育を取り入れるには制度的支援と共同体からの後押しが不可欠であると結論づけられています。具体的には:
● 専門的な研修(Professional Development)の機会
● オンライン教材プラットフォーム(例:Subject to Climate)へのアクセス支援
● 教員同士のネットワーク形成や教材共有
● 生徒の気候変動へのアクションへの関心を契機とした授業改善
これらの取り組みによって、協力的な実践共有が促されると報告されています。
【創造的かつ学際的な教育アプローチの提案】
気候変動教育の実施においては、社会科・人文学・芸術など多様な分野と連携した学際的アプローチが有効であるとされ、次のような方策が推奨されています:
● 生徒と科学者の共同活動
● 地域の持続可能性プロジェクトへの参加
● ディスカッションや体験学習の導入
これらは、生徒の主体的な学びを促し、気候リテラシーの深化に寄与すると評価されています。
【結論と展望】
本調査は、教員の知識、感情、リソース、制度的支援という複合的要素に対応した気候変動教育の実装が、今後の教育政策と現場の実践にとって不可欠であることを示しています。気候変動教育を広く普及させるには、教員支援が最優先課題であるという視点が、打ち出されています。