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アメリカ:ペンシルベニア州、環境教育事業に110万ドル超を助成

発表日:2025年5月22日

■ 州全体の環境教育支援と優先方針
ペンシルベニア州環境保護局(DEP)は、2025年度の環境教育助成金(Environmental Education Grants)として合計1,173,789ドルを68件の事業に対して交付したと発表した。助成の目的は、州全域における環境保全意識と行動を促進することであり、大気・水質保護を中心とした生活環境とのつながりを深める教育機会の提供が重視されている。
DEPの暫定長官ジェシカ・シャーリー氏は、「年齢を問わず学びの機会を提供するプロジェクトが多く、人々の環境との関係性を強化する助けとなる」と述べた。今年度の助成では、採択事業の87%が、気候変動や公害の影響を受けやすい地域の子どもや成人への教育活動を含むことが明らかにされた。

■ 採択事業の特徴と教育内容の多様性
助成を受けた事業は、以下のような多様な活動を含んでいる:
● STEELS(Pennsylvania Science, Technology & Engineering, Environmental Literacy and Sustainability)基準に準拠したカリキュラムの開発と実施
● 教師向けの研修、地域住民へのワークショップ、児童・生徒を対象とした体験学習
● 気候変動・水質・廃棄物削減・再生可能エネルギー・生物多様性・農業と気候の関係などをテーマとした活動
● アート、テクノロジー、農業、演劇などを通じた学際的な環境教育の展開
● 都市部・農村部・低所得地域・非英語話者・先住民地域など多様な背景にある人々を対象にしたプログラム
各地域(County)単位で、公共学校、大学、NPO、博物館、自然保護団体など幅広い団体が受給し、地域密着型の教育・啓発活動が実施される予定。

■ 助成制度の背景と制度的基盤
この助成制度は、1993年制定の「環境教育法(Environmental Education Act)」に基づき設置された法定プログラムであり、DEPが徴収する公害関連罰金・制裁金の5%を毎年環境教育に充当することが義務づけられている。
制度創設以来、約1,550万ドルが2,320件以上の事業に助成されてきた。

■ 地域・教育段階を越えた横断的な展開
2025年度の採択事業は、州内の少なくとも39地域にまたがり、小学校から高校、大学、社会教育まで幅広く対象としている。また、都市部・郊外・農村部を問わず、地域住民、農業従事者、教職員、学生、政策関係者、科学者、芸術家など多様な参加者が関与している。
また、「STEELS」準拠により、単なる環境意識啓発にとどまらず、科学的・技術的なリテラシーやキャリア形成を視野に入れた実践的教育も推進されている点が特徴。

 

【出典】Pennsylvania Department of Environmental Protection(DEP)発表資料
https://www.pa.gov/agencies/dep/newsroom/2025-05-22-shapiro-administration-awards-over-1-1-million-to-environmental-projects-that-foster-environmental-stewardship.html