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アフリカにおけるグレート・グリーン・ウォール(緑の万里の長城)
【情報源】
世界経済フォーラムニュース (インターネット記事)
【名称】
アフリカにおけるグレート・グリーン・ウォール(緑の万里の長城)
【形態・形式】
インターネットでのニュース記事
【著者・講演者または発行者】
Elvis Paul Tangem (Coordinator of the Great Green Wall Initiative, African Union Commission), Elvis Lyonga Edimo (Communications Consultant)
【発行/公表時期】
2021年6月25日
【背景・目的】
アフリカにおけるグレート・グリーン・ウォール(緑の万里の長城:Great Green Wall))イニシアチブは、気候危機の最前線に住む何百万人もの人々の生活を変革することを目的とした森林再生プロジェクトである。このアフリカ主導のプロジェクトの目標は、①1億ヘクタールの土地を回復し、②2億5000万トンの炭素を吸収し、③農村部で1,000万人のグリーン雇用を創出することである。完成すると、グレート・グリーン・ウォールはグレートバリアリーフの3倍の大きさの地球上で最大の生き物による構造物になる。
サヘル地域は、サハラ砂漠の南の5,900キロメートルに及ぶ広大な半乾燥地域であり、世界で最も著しい困地域として知られている。定期的な干ばつや洪水は、食料や飲料水の不足につながり、人道危機と移住を引き起こしている。過去には、これらの問題に取り組む努力は、国際NGOや市民社会団体が主導し、地域の貧困に対する財政的または技術的解決策を見つけることに焦点を当ててきており、地元の人々が自然環境について持っている豊富な知識をほとんど無視してきた。このようなプロジェクトは実際に問題を悪化させた場合もあった。また、コミュニティのニーズや優先順位を考慮していないため、オン奥のプロジェクトは、スタッフと専門家が去るとすぐに終了した。
グレート・グリーン・ウォール・イニシアチブは、砂漠に木々の盾を作ることを目的としたプロジェクトとして、2007年に始められた。しかし、このイニシアチブは今、はるかに広く、より野心的な目標を持っている。気候変動対応農業(climate smart agriculture)、持続可能な牧畜、保全型林業、エネルギー転換、自然資源のガバナンスなどの措置のモザイクを通じて、アフリカの乾燥地で持続可能な土地と水の管理を促進することを目的としている。
【概要】
アフリカにおけるグレート・グリーン・ウォール(Great Green Wall: GGW 緑の万里の長城)イニシアチブは、気候変動により最も大きな打撃を受けている、世界で最も貧しいコミュニティで、土地を回復し、炭素を吸収し、雇用を創出することを目的としている。このプロジェクトは森林再生イニシアチブとして始まったが、生態学的、経済的、社会的発展のための、より広範で野心的な計画に成長した。GGWイニシアチブの未来は、プロジェクトがイノベーションを引き起こせるかどうかにかかっている。このプロジェクトを成功させるためには、コミュニティによる再生可能エネルギーへの移行を進め、エコな起業を奨励する必要がある。
グレート・グリーン・ウォール(GGW)イニシアチブは、アフリカ全土の土壌損失を食い止め、サヘル地域の自然資源管理に携わる多くの組織を支援することを目的としている。科学と研究に基づいて政策を策定し、地域のコミュニティのレジリエンスを構築することに重点を置いている。このイニシアチブは、ブルキナファソ、チャド、ジブチ、ニジェールを含む加盟国の持続可能な土地管理を促進するための自然を基盤とする解決策を促進する。アグロフォレストリー、改善された作物管理、農業の多様化、統合された水管理、森林管理により、自然や改変された生態系を保護し、持続可能に管理し、復元する
サヘル地域は、健康、学校教育、生活の質に関する指標データが乏しく、地球で最も難しい生物物理学生態系の1つであり、また、世界で最も著しい貧困地帯である。11のGGW創設時加盟国(ブルキナファソ、ジブチ、エリトリア、エチオピア、マリ、モーリタニア、ニジェール、ナイジェリア、セネガル、スーダン、チャド)は、いずれも人間開発指数がサハラ以南アフリカの平均水準を下回っている。チャド、マリ、ニジェール、セネガルでは今世紀の残りの期間は人口増加が続くと予測されている。
GGWイニシアチブは地域のゲームチェンジャーになる可能性を秘めている。しかし、持続的な土地損失、進捗状況を監視するための共通のメカニズムの欠如、一部のGGW利害関係者の効果的な関与などの問題と取り組まざるを得なかった。国連砂漠化対処条約に基づき2020年9月に発表された最初の評価結果では、11の創設時加盟国に建設されたのはわずか400万ヘクタールで、これはプロジェクトが2030年までにカバーすることを目指している地域のわずか15〜18%に過ぎない。
これらの遅延の理由として、サヘル地域では政治的不安定が高まっており、広大な地域での行動を妨げていることが挙げられる。また、プロジェクトで調達される資金の短期的な性質が、長期的な計画立案を困難にしている。対象国の環境分野には、人的資源と財源が不足しており、実行可能な市場が不足している。もう一つの大きな課題は、これらの地域の主要経済セクターを統合する必要があることである。これらの国の多くでは、農業は生態学的回復の別のセクターとして扱われ、別の政府省によって管理されている。多くの開発プロジェクトも、特定のテーマ別セクターに基づいて行われており、縦割りの弊害が目立つ。
プロジェクトの将来は、イノベーションにかかっている。例えば、このプロジェクトは、木炭や木材からの伝統的なバイオマスエネルギーを太陽、熱、風力、水などの手頃な価格の代替品に置き換え、再生可能エネルギーの使用を人々に奨励する必要がある。ドローンや人工知能を使用して森林破壊を監視し、さらには木の苗を植えることさえ可能かもしれない。プロジェクトはまた、伝統的な知識(indigenous knowledge)を活用し、新しいビジネスを支えるためにこれを活用する必要がある。コミュニケーションやコミュニティとの関わり方を見直し、将来の新しいビジョンを知ってもらう必要がある。
アラビアゴム、シアバター、バオバブ、タマリンドなどの製品は、多くの家族やコミュニティにとって、特にオフシーズンにおける収入を提供している。それらはより多くの収入を生み出し、まともな雇用を生み出す大きな可能性を秘めている。
イノベーションの力を活用できれば、GGWイニシアチブは、アフリカ大陸が直面している多くの緊急の脅威に対する説得力のある解決策になるだけでなく、グローバルコミュニティ全体に対する解決策の一つにもなり得る。
【対象】
気候変動や生物多様性に関する国際動向に関心がある研究者、実践家、教員(大学教員を含む。)等
【入手方法・価格】
無料、World Economic Forum The Agenda Weekly参照
【問合せ先】
Elvis Paul Tangem (Coordinator of the Great Green Wall Initiative, African Union Commission), Elvis Lyonga Edimo (Communications Consultant)
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