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国内人権機関世界連合の2021年報告について
【情報源】
ヒューライツ大阪 ニュース・イン・ブリーフ
【名称】
国内人権機関世界連合の2021年報告
【形態・形式】
ニュース記事
【著者・講演者または発行者】
一般財団法人 アジア・太平洋人権情報センター(ヒューライツ大阪)
【発行/公表時期】
2021年8月
【背景・目的】
国内人権機関はまた、「持続可能な開発目標」(SDGs)の達成についても重要な役割を果たすことが期待されています。
国内人権機関は、その国の人権を守ることを専門とする国の機関で、国によって人権委員会や人権オンブズマンなど様々な名称がつけられています。国連は国内人権機関の地位に関する原則(パリ原則)を採択し、各国にこの原則に沿った国内人権機関の設置・運営を求めています。原則には、人権伸長・保護を可能にする権限と機能、政府からの独立、構成の多様性などをあげています。
各国の国内人権機関が協力し、情報交換や相互の発展に向けた活動を行うことを目的としたネットワーク「国内人権機関世界連合」(GANHRI)が作られています。この連合は、世界各地の国内人権機関をメンバーとし、国連人権高等弁務官事務所が事務局を務めており、各国内人権機関がパリ原則に適合しているかどうかを判断する認証委員会を設置しています。
【概要】
2021年1月現在、GANHRIのメンバーは117機関、そのうちA認定(完全にパリ原則に適合)は84 機関、B認定(部分的にパリ原則に適合)は33機関です。
また、パリ原則に適合しない機関は、かつてはC認定とされていましたが、現在はパリ原則に適合しなければメンバーとならないため、そのランク付けはもう行われていません。ただし、2007年10月までにメンバーとなっており、C認定となっている機関はそのままCとなっています。
アジア・太平洋地域の国内人権機関でA認定を受けているのは、以下の16の国・地域の国内人権機関です。
アフガニスタン、オーストラリア、インド、インドネシア、ヨルダン、マレーシア、モンゴル、ネパール、ニュージーランド、フィリピン、カタール、韓国、サモア、スリランカ、パレスチナ、東ティモール。
B認定は、バーレーン、バングラデシュ、イラク、モルディブ、ミャンマー、オマーン、タイ、ウズベキスタンの8か国です。(中央アジアはカザフスタン、キルギス、タジキスタンの3か国)。アジア・太平洋地域で最も新しく認証されたのは2020年12月にB認定を受けたウズベキスタンです。
香港、イランはCとなっています。また、フィジーの国内人権機関は2007年に脱退しています。
また、アジア・太平洋地域には、「アジア太平洋国内人権機関フォーラム」(APF)という1996年に設立されたネットワークがあります。25の国・地域の国内人権機関がメンバーとなり、相互協力や情報・知識の共有など地域の国内人権機関制度の強化に取り組んでいます。2年ごとに開催されるフォーラムでは、地域の国内人権機関や政府、国連機関だけでなく、市民社会組織も参加し、地域人権保障機構のないアジア・太平洋地域にとって地域をカバーする人権に取り組むための貴重な枠組みになっています。
一方、国連人権高等弁務官事務所は2020年9月-10月の第45会期人権理事会に提出された報告の中で、A認定を受けている国内人権機関に対して予算の削減や脅迫、メディアや政府による非難など報復や圧力の事例があったことを報告しています。
たとえば、グアテマラの国内人権機関は、国から予算をカットされたとともに、グアテマラの腐敗、および不処罰に関して調査している国連の手続きを同機関が支持していることなどについて何者かから脅しを受けたとあります。
また、ポーランドの人権委員は、殺人容疑者の逮捕手続きに関する声明を出したことから、「殺人犯の擁護者」とメディアに非難されました。
フィリピン人権委員会は、フィリピンに対する人権理事会の決議を支持したため政府に批判され、人権委員会に協力した国際機関・組織のリストを上院に提出するよう求められたと報告しています。
【対象】
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