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第5回国連環境総会再開会合の結果概要
【情報源】
UNEP Wedbsite 他
【名称】
第5回国連環境総会再開会合の結果概要
【開催日(期間)】
2022年2月28日~3月2日
【主催者・協力者】
国連環境計画
【開催地(開催方法)】
オンラインおよびナイロビでの対面会合
【結果概要】
国連環境計画(UNEP)が主催する国連環境会議(UNEA)は、第5回会合再開会合を2022年2月28日から3月2日にかけてオンラインおよび対面でナイロビで開かれました。国連加盟国175カ国及び関係国際機関、企業、市民社会、その他の利害関係者の代表者が参加し、世界で最も差し迫った環境問題に取り組む政策に合意しました。
UNEA-5のテーマは、「持続可能な開発目標の達成に向けた自然のための行動の強化」であり、自然が私たちの生活や社会、経済、環境の持続可能な開発において果たす重要な役割を強調しました。加盟国が持続可能性のためのベストプラクティスを共有する機会であり、経済や社会が依存する自然界を保護し、回復するための多国間環境への取り組みに、政府が影響を与え、触媒する勢いを作り出すことを目的としていました。
3月2日に採択されたUNEA5の閣僚宣言は、28パラグラフからなり、こちらから閲覧できます。また、その要旨は、環境省のウェブサイトから閲覧できます。閣僚宣言の主なポイントは、以下の通り。
世界中のプラスチック汚染を終わらせるため、プラスチック汚染に関する法的拘束力のある国 際約束策定のための政府間交渉委員会の設立を決定したことを歓迎。
  • COVID-19の影響を憂慮し、One Healthアプローチを取る必要性を強調。
  • 人類史上前例のない生物多様性の地球規模の減少と生息地の分断を止めるこ とが緊急に必要であることを強調。
  • 土地の劣化と砂漠化を憂慮し、2022年5月にアビジャンで開かれる第15回砂漠化対処条約第15回締約国会議の成果に期待。
  • SDGsの達成に向けた変革を可能にする体系的な政策の変化の必要性を認識。
  • グリーンで持続可能な技術に向けたイノベーション、科学知識、人材育成、投資を強化。
  • 国連気候変動枠組条約第 27 回締約国会議を成功させ、気候変動に取り組むた めのグローバルな行動を更に強化することにコミット。
  • 野心的かつ変革的なポスト 2020 生物多様性枠組の生物多様性条約第 15 回締約国会議での採択を要請。
  • 経済と生活の活性化及び貧困の終焉を目指し、内包的で持続可能な復興とグリーン経済への道筋野策定をコミット。
  • 国連生態系回復の 10 年(2021-2030年)へのコミットメントを再確認し、生態系の損失、劣化及び分断を止めるために、あらゆるセクター、政府レベル、 政府間で実施。
  • 政策立案において自然の評価と自然関連リスクの評価を適切に実施することにより、 持続可能な消費と生産パターンを推進することにコミット。
  • 気候変動、生物多様性、汚染という3大脅威に関する効果的な行動、政策立案のための最善の科学の重要 性を認識。この重要な 10 年間に緩和、適応及び資金に関する野心と行動を強化することの緊急性を強調。UNEA5.2ではまた、14の決議と1つの決定(次回UNEAの時期と場所)が採択されました。
  • Resolution to End plastic pollution: Towards an international legally binding instrument
  • Resolution on an Enhancing Circular Economy as a contribution to achieving sustainable consumption and production
  • Resolution on Sustainable Lake Management
  • Resolution on Nature-based Solutions for Supporting Sustainable Development
  • Resolution on the environmental dimension of a sustainable, resilient and inclusive post COVID-19 recovery
  • Resolution on Biodiversity and Health
  • Resolution-Animal Welfare – Environment – Sustainable Development Nexus
  • Resolution on Sustainable Nitrogen Management
  • Resolution on Sustainable and Resilient Infrastructure
  • Resolution on the Sound Management of Chemicals and Waste
  • Resolution for a Science-Policy Panel to contribute further to the sound management of chemicals and waste and to prevent pollution
  • Resolution text on environmental aspects of minerals and metals management
  • Resolution on the Future of the Global Environment Outlook
  • Resolution due regard to the principle of equitable geographical distribution, in accordance with paragraph 3 of article 101 of the Charter of the UN
環境省のウェブサイトにも掲載されています。
その中でも特に注目すべきと考えられるのは、以下の2つの決議です。
  1. プラスチック汚染の終結に向けて:国際的な法的拘束力のある文書日本語概要:環境省作成
    プラスチック対策に関する国際枠組み(条約)交渉を開始するための政府間交渉委員会を、2024年中に作業を完了すべく国連環境計画が2022年後半に開催するよう求める決議が採択されました。世界で大きな課題となっていたプラスチック汚染問題への取組として、画期的な進展と言えます。国連環境計画(UNEP)のインガー・アンダーセン事務局長は、これはパリ協定以来最も重要な環境多国間協定(MEA)であると述べました。
  2. 化学・廃棄物の健全な管理に貢献し、汚染を防止するための科学政策パネルの決議
    この決議により、化学物質、廃棄物の健全な管理と汚染防止に関する、包括的で野心的な科学政策パネルの設置が支持されました。UNEPを事務局とするオープンエンドな作業部会が設置され、この科学政策パネルの業務(Terms of Reference)等に関する議論が始められます。これまで3つの主要な地球規模の課題と言われていた気候変動、生物多様性、汚染問題のうち、科学的知見を提供する仕組みとして気候変動についてはIPCCが、生物多様性についてはIPBESがありましたが、汚染問題については仕組みが欠如していました。このたびの国連環境総会の閣僚宣言でも、人類が化学物質と廃棄物の管理に失敗し、使い捨てプラスチックや殺菌されない薬品などにより増幅されたCOVID-19パンデミックの脅威について認識されています。科学政策パネルが設立されれば、3つの地球規模課題に関する科学的知見提供の仕組みがそろうことになり、今後の政策展開に向けた大きな弾みがつくと期待されます。
UNEA5.2の結果報告については既に環境省のウェブサイトでも公表されているので、そちらも見ていただくと良いです。
【対象】
SDGs、特に環境問題に関心を有する全ての者
【資料】
【問合せ先】
UNEP事務局