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青空のためのクリーンな大気に関する国際デーとWMO【開催報告】
【情報源】
UNEP website, WMO website
【名称】
青空のためのクリーンな大気に関する国際デーとWMO【開催報告】
【開催日(期間)】
2022年9月7日
【主催者・協力者】
国連、特に国連環境計画(UN Environment/UNEP)
【開催地(開催方法)】
オンラインでの世界中のイベント
【結果概要】

9月7日は青空のためのクリーンな大気に関する国際デー(International Day of Clean Air for blue skies)であった。この国際デーは2019年国連総会によって制定され、クリーンな大気への関心の高まりと大気質の改善の必要性を訴える日である。大気汚染、特に粒子状物質(particulate matter: PM)と対流圏オゾンは、国境や地域を越えて世界を巡ることが科学的に解明されている。世界保健機関(WHO)によれば、それらの大気汚染により、年間約700万人の人が死期を早めている。国連環境計画が主導する今年の国際デーのテーマは「The Air We Share」であり、大気汚染の国境を越えた性質に焦点を当て、協働行動の必要性を強調している。

この国際デーに合わせて、世界気象機関(WMO)では「大気質と気候ブリテン第2号」を公表した。ブリテンでは、気候変動により増加する山火事により、大気中のPMが増加し、大気汚染の悪化とその結果としての人々の早期死亡が増加すると警告している。
今世紀中に予想される熱波の頻度、強度、持続時間の増加とそれに伴う山火事の増加は、大気の質を悪化させ、人間の健康と生態系に害を及ぼす可能性がある。汚染と気候変動の相互作用は、何億人もの人々に追加の「気候ペナルティ」を課すことになる。「気候ペナルティ」とは、特に、人々が呼吸する空気に悪影響を及ぼす、対流圏のオゾン生成に対する気候変動増幅効果を指す。気候変動のペナルティが最も強く予測されている地域であるアジアには、世界人口の約4分の1が住んでいるため、多大な影響が懸念される。気候変動は、対流圏のオゾン汚染エピソードを悪化させ、何億人もの人々に有害な健康への影響をもたらす可能性がある。

WMO大気質・気候ブリテン第2号は、特に2021年の山火事によるPMの影響に焦点を当てている。2020年と同様に、高温で乾燥した条件が北米西部とシベリアでの山火事の広がりを悪化させ、PMが広範囲に増加し、健康に有害なレベルに達している。
「地球が温暖化するにつれて、低排出シナリオの下でも、山火事とそれに伴う大気汚染が増加すると予想されるため、人間の健康への影響に加えて、大気汚染物質が大気から地球の表面に沈着し、生態系にも影響を及ぼすと予測される。
大気質と気候が相互に関連しているのは、大気質の劣化につながる化学種が通常、温室効果ガスと共に排出されるためである。一方の変化は他方の変化を引き起こす。化石燃料の燃焼(二酸化炭素(CO2)排出プロセス)はまた、窒素酸化物(NOx)を放出し、太陽光と反応して対流圏のオゾンおよび硝酸塩エアロゾルの形成につながる。その結果、悪化した大気汚染は生態系にも悪影響を及ぼし、きれいな水、生物多様性、炭素貯蔵などの自然生態系が提供するサービスを劣化させ、農業システムの作物収量にも悪影響を与える可能性がある。

【対象】
気候変動や大気汚染に関心を有する全ての者
【報告資料】
【問合せ先】
World Meteorological Organization
Atmospheric Environment Research Division
Science and Innovation Department, Geneva,
Switzerland
Email: gaw@wmo.int