9月16日、17日、19日にかけて国連教育の変革サミット（Transforming Education Summit）がニューヨークの国連本部で開かれた。

サミットは、2020年以来、約1億4,700万人の生徒が対面指導を半ば以上受けられなくなっているような教育の危機に対処することを目的とした。 COVID-19が世界の教育システムにもたらした深刻な影響を踏まえ、世界の130カ以上の国が集まり、教育システムの再稼働と学習の危機を終わらせるための行動を加速するとコミットした。

2021年には2億4,400万人の子どもと若者が学校に通えなくなったと推定されている。パンデミックは世界の子どもたちの90%以上の学習に悪影響を及ぼし、史上最大の混乱をもたらした。現在、世界中の子どもたちの64.3%が、単純なテキストを読んだり理解したりすることができないと推定されている。数年後には、3人に1人がこのテキストを理解できなくなり、8億4000万人の若者が適切な教育を受けないまま10代で学校を離れることになる。しかし、子どもたちがキャッチアップするための戦略を持っている国は半数にも満たない。キャッチアップができなければ、これらの子どもたちは、将来の職業生活の中で10兆ドルの収入を失うと推定される。

「教育は偉大なenablerになるどころか、急速に大きな分断者になりつつある。富裕層は最高の資源、学校、大学にアクセスでき、最高の仕事につながり、貧困層、特に少女は、人生を変える可能性のある教育を得るための大きな障害に直面している。」とアントニオ・グテーレス国連事務総長は述べた。

半数近くの国が学習損失に対処するための措置を優先すると、3分の1の国は生徒と教師の両方の心理社会的安寧を支援すると約束した。また、3分の2の国が、経済的に脆弱なコミュニティに対する教育の直接的、間接的な費用を相殺するための措置をとると言明し、75%の国がジェンダーに配慮した教育政策の重要性を強調した。これらの声明は、すべての持続可能な開発目標の達成における教育の役割と、気候危機、紛争、貧困との関連を強調している。

このサミットで、国連事務総長とゴードン・ブラウン国連グローバル教育特使は、スウェーデン、英国、オランダ、アジア・アフリカ開発銀行と共同で開発された初の国際教育金融ファシリティ(IFFEd)について発表した。IFFEdは、2023年から支払われる教育プログラムに、当初20億ドルの追加資金を提供し、2030年までに教育とスキルのための追加の100億ドルの追加資金を供与できる。UNESCOとUNICEFは、包括的なデジタル学習プラットフォームとコンテンツを作成・強化するためのグローバルなマルチパートナーイニシアチブである「パブリックデジタルラーニングへのゲートウェイ（Public Digital Learning Gateway）」を立ち上げた。また、基礎教育を促進し、教育を通じて、そして教育におけるジェンダー平等を促進することによって学習危機に対処するための行動喚起も発表され、気候危機は「私たちの生活のための戦い」であるという事務総長の呼びかけに応えて、グリーニング教育パートナーシップが発展された。

3日間のサミットの初日に、青少年宣言が公表された。青少年宣言は、約50万人の若者からの貢献を反映した、数ヶ月にわたる協議プロセスの集大成である。宣言は、「世界を作り直すためには、まず教育を変革しなければならない」と述べている。この宣言は、意思決定者が若者を単なる受益者ではなくパートナーとして、教育関連の政策形成と実施に拘わらせることを要求している。また、若者のリーダーシップとジェンダー変革教育への投資も要求している。

サミットで発表された事務総長のビジョン声明は、21世紀の教育への道筋を示している。これは、2024年に国連総会で開催される未来のサミットの準備のための交渉へのインプットとして機能する。声明は、サミットの成功後も世界的な動員を継続し、加盟国とパートナーが変革の炎を燃やし続けることを求めている。

〇アブデル・ラーマン・ガンドゥール：教育サミット事務局の変革、コミュニケーションとアドボカシーの責任者、ghandour@unesco.org

〇Langqi Xhao：メディアコーディネーション、トランスフォーミング教育サミット事務局、xhao@unesco.org

〇フランシン・ハリガン：国連グローバルコミュニケーション省持続可能な開発チーフ、harriganf@un.org