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IPCC第6次評価報告書 統合報告書の政策決定者向けサマリーのプレス発表

【情報源】
IPCC website
【名称】
【開催報告】IPCC第6次評価報告書 統合報告書の政策決定者向けサマリー(SPM)のプレス発表
【開催日(期間)】
2023年3月20日日本時間午後10時~11時
【主催者・協力者】
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)事務局
【開催地(開催方法)】
スイス、インターラーケン
【結果概要】

大変難産であったIPCC第6次評価報告書の統合報告書(Synthesis Report)が、会期を2日延長した第58回IPCC総会で採択され、3月20日午後2時(日本時間午後10時)から約1時間、政策決定者向けサマリー(Summary for Policy Makers: SPM)のプレス発表が行われた。

プレス発表は、リーIPCC議長による説明の後、質疑が行われる形で進められた。

冒頭のリー議長の説明のポイントは以下の通り。
・1.5℃を超えることにより、多大な死者等の被害が起こる。
・技術的には対策が可能。
・必要な対策には、現在の3~6倍の資金が必要。
・私たちは、今、適切な選択をする必要がある。

質疑の主なポイントは以下の通り。
Q:統合報告書の主なメッセージは?
A:希望(Hope)というメッセージ。
私たちには希望がある。今後20年で大きな改善の余地がある。特に都市部に大きなポテンシャルがある。
A:ファイナンスが重要な役割を果たす。必要な投資ができるように変革を起こすことが必要。

Q:第5次評価報告書との大きな違いは?
A:リー議長の総括は以下の3点であった。
・より統合されたアプローチが採られている。
・特に、便益に関する緩和策と適応策の相乗効果を詳細に分析している。
・社会科学を重視して人間の側面に焦点を当てている。
その他、以下のような意見があった。
・解決策に焦点を当てている。
・深刻さ、緊急性を前回報告よりはるかに強調している。
・適応策と緩和策を統合し、社会と生物多様性に係る便益を統合的に分析・評価している。
Q:気候正義と最も影響を受けやすい低収入の人たちについて
A:最も影響を受けやすい低所得の人々を救うための最も効果的な対策は、都市部の適応対策を強力に進めること。

Q:気候変動条約プロセス(COP28)へのメッセージ
A:膨大なAR6報告を読まなくてもこのSPMだけで重要なメッセージを知ることが可能。
SPM、統合報告書をしっかり理解し、正しい選択をしてもらいたい。

Q:新たなキーワード
A:- Critical will of policy makers
– Need of public support
– Motivation for net-zero
– Need for more attention to adaptation

 

リー議長による最後の総括メッセージ
・既に多くの選択肢がある。IPCCの役割は、それらの選択肢を政策決定者や一般の人々に示すこと。
・私たちは、なぜ人々を救うために緊急に必要とされる資源(資金)を今投入しないのか?今がまさに選択をすべき時期である。
【対象】
気候変動に関心を有する全ての者、SPMはやや難解なので、主として行政官や研究者
【報告資料】
【問合せ先】
IPCC Press Office:ipcc-media@wmo.int
Lance Ignon, SYR Communications Specialist:ignon@ipcc-syr.org