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気候変動に関する政府間パネル(IPCC-60)第60回会合【結果報告】

【情報源】
ENB0122, IPCC website
【名称】
気候変動に関する政府間パネル(IPCC-60)第60回会合【結果報告】
【開催日(期間)】
2024年1月16~19日
【主催者・協力者】
気候変動に関する政府間会合(IPCC)
【開催地(開催方法)】
トルコ、イスタンブール
【結果概要】

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第60回会合(IPCC-60)が2024年1月16-19日にかけて120の政府と26のオブザーバー組織から375人以上が参加し、トルコのイスタンブールで開催されました。会合は最終日の夜を徹して作業し、1月20日の朝に閉会しました。

この会合は、第7次評価サイクルの最初の実質的な会合であり、主な課題は、このサイクルのアウトプット・セットの決定、特別報告書の議題、作業部会の貢献の提出と統合報告書の作成のスケジュールなどでした。会合は極めて難航しましたが、最終的に、3つの作業部会からの分担、統合報告書、気候変動と都市に関する特別報告書、2つの方法論報告書、影響及び適応に関する技術ガイドラインの改訂を含む作業計画に合意しました。

様々な議論が行われた結果の最終的な決定(IPCC-LX-9)には以下の内容が含まれました。
• UNFCCCの決定書1/CMA5パラグラフ184 (グローバルストックテイク(GST))及び3/CMA.4パラグラフ21(適応に関する世界目標 (GGA)による依頼を審議する。
• 2027年初頭の気候変動と都市に関する特別報告書の作成、及び2027年までの短寿命気候強制力に関する手法論報告書の作成を確認する。
• インベントリータスクフォースが、二酸化炭素除去技術、炭素回収、利用及び貯留に関する専門家会合を開催し、これらに関する方法論報告書を2027年末までに提出する。
• IPCCは、第7次評価サイクル中に、パネルが別段の決定をしない限り、3つのWG報告書を以下の順序で作成すると決定する。
WG I – 科学的ベース
WG II – 影響、適応、脆弱性;
WG III – 気候変動の緩和
• 統合報告書(SYR)は作業部会報告書の完成後、2029年後半までに作成される。
• 影響及び適応に関する1994年IPCCテクニカル・ガイドラインを改定し、更新する成果物(これには適応指標、測定基準、手法論が含まれる)が、対象範囲が特定され、開発され、レビューされ、WG II報告書と併せて承認及び受諾が検討されるべきである。新ガイドラインは、別個の成果物として公表することを合意する。
• 議長団に対し、IPCC-60で表明された異なる見解を考慮し、また、グローバルストックテイク及び適応に関する世界目標に関するUNFCCCの依頼に関連し、これらの報告書を適時かつ政策関連のある方法で提出するため、第7次評価報告書(AR7)戦略計画に基づき、実施月及び年を概説する文書を作成するよう要請する。その文書を次回の会議で審議する。

IPCC-61(次回会合)は2024年夏に開催される予定であると発表されました。事務局は今後数週間のうちに日付と場所を確認することとされました。

UNFCCC事務局長のSimon Stiellは、COP 28は化石燃料の「終わりの始まり(beginning of the end)」を示すものとして広く認識されていると述べました。彼は、IPCCは世界がここまで進んだことについて多くの功績を辿ることができると述べ、地球温暖化を1.5°C以下に抑えるという目標を設定し、その道筋を導く上でIPCCが果たす重要な役割を強調し、2027年初頭までのIPCCの包括的なインプットは、2028年に終了予定の第2回グローバルストックテイク(GST-2)に情報を提供する上で非常に貴重であると付け加え、2025年に各国が決定するNDCsの今後の更新について言及しました。そして、IPCCとUNFCCCのタイムラインを整合させることで、気候変動に関する行動を加速できるとの見解を示し、IPCCに対し、「決意と団結をもって前進する」よう促しました。

最大の論点は評価サイクル、すなわち評価報告書のスケジュールだったようです。2028年に終了する国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の第2回グローバルストックテイク(GST)の下での政策決定プロセスに、作業計画のタイムラインと成果がどのように貢献するかが重大な関心事でした。パリ協定締約国会議(CMA)の直近の会合で、IPCCに対し、5年ごとに行われるGST-2及びその後のストックテイクと作業を整合させる最善の方法を検討するよう求められました。ほとんどのパネルメンバーは、緩和と適応の両方を網羅するバランスの取れた一連の科学的インプットを2028年のGST-2に間に合うようにする必要性について概ね合意しましたが、少数の国がIPCCは他の組織のニーズに屈すべきではないと主張し、そうすることはIPCCの科学的評価プロセスの完全性を損なうことになると強く反対しました。最終決定では、評価報告書の期限が2028年であるかどうかには言及せず、IPCC議長団に対し、IPCC-60で表明された異なる意見を考慮し、IPCC-61での審議に向け、戦略計画に基づき、報告書の交付月及び年を概説する文書を作成するよう要請しました。

【対象】
気候変動に関心を有するすべての者
【報告資料】
【問合せ先】
IPCC Press Office, Email: ipcc-media@wmo.int