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グローバルリスクレポート2024
【情報源】
Environment+Energy Leader 11 Jan. 2024
【名称】
グローバルリスクレポート2024
【形態・形式】
報告書
【著者・講演者または発行者】
世界経済フォーラム
【発行/公表時期】
2024年1月10日
【背景・目的】
1月15日~19日にかけて世界経済フォーラムの通常年次会合(いわゆるダボス会議)がスイスのダボスで開かれています。それに先立ち、世界経済フォーラムはグローバルリスクレポート2024(第19版)を公表しました。
【概要】

第1章で2024年の短期的なグローバルリスクについて、第2章で2034年の中長期的なリスクについて概観し、第3章でそれらのリスクに対する対応について論じています。以下、レポートのポイントについて概観します。

レポートでは、リスクアナリストが地球規模の問題を深刻度別にランク付けし、今後10年間の懸念事項のトップ4として、異常気象、地球システムの重大な変化、生物多様性の損失と生態系の崩壊、天然資源の不足を挙げ、汚染もトップ10に含めました。報告書は、回答者の3分の2が、今年重大な危機を引き起こす可能性が最も高いリスクとして異常気象を挙げたと説明しています。しかし、環境リスクの緊急性については意見が分かれているようで、生物多様性の損失や生態系の崩壊、地球システムへの重大な変化のリスクについては、若い回答者は、シニアな回答者よりもはるかに高いと評価しています。また、非自発的移住は、気候変動関連の影響として、リスク関連の最大の懸念事項とされ、社会・経済システム全体に環境悪化の連鎖的な影響を及ぼすと指摘しています。

(参考)10年後の主要なリスク
第1位:異常気象、第2位:地球システムの重大な変化、第3位:生物多様性の損失と生態系の崩壊、第4位:天然資源の不足 第5位:誤情報と偽情報、第6位:AI技術による影響、第7位:非自発的な移住、第8位:サイバーセキュリティ問題、第9位:社会的な一極化、第10位:環境汚染

第2章では、2030年代初頭までにパリ協定の1.5°C目標を超え、取り返しのつかない環境破壊につながると予測し、現在のロードマップに基づくと2034年の世界がどのようになるかに焦点を当てています。報告書は、低緯度のサンゴ礁やグリーンランドと西南極の氷床など、1.5°Cの限界に達する可能性が高い少なくとも4つの主要なシステムを挙げています。

世界経済フォーラムは、他の国際機関と同様に、現在の世界的な気候変動への適応策は不十分であり、多くの国の経済は外部からの資金援助なしには予想される損害に耐えられないと主張しています。レポートによると、オーストラリアでは2030年までに約52万1,000戸の住宅が異常気象のリスクにより保険に加入できなくなると予測しています。報告書はまた、気候モデリングの不備を示唆し、多くのモデルが気候変動の影響が直線的な経路を示していると指摘しています。それに対し、レポートでは、地球システムの変化による長期的で非線形の急激な影響を十分に考慮した、気候リスク管理への進化したアプローチが必要と提案しています。

レポートは、今後10年間については明らかに悲観的な見方をしているものの、主要な地球規模のリスクに対する防波堤を築くための世界的な協力を呼びかけ、予想される環境への影響に対処するための行動を起こす機会を活かすべきと指摘しています。また、より地域に根ざした(localized)行動の可能性を探り、個人や国家のレジリエンスの取組を奨励し、エネルギー転換を加速させる可能性のある気候モデリングと技術に関するより大きな研究の推進を提案しています。

チューリッヒ・インシュアランス・グループのサステナビリティ・リスク責任者であるジョン・スコットは、「世界は、AI、気候変動、地政学的変化、人口動態の変化など、大きな構造変化を遂げています。調査対象となったリスク専門家の91%が今後10年間について悲観的な見方をしています。既知のリスクは増大し、新たなリスクも顕在化していますが、同時にチャンスももたらしています。国境を越えた集団的かつ協調的な行動がその役割を果たしますが、グローバルリスクの影響を軽減するためには、地域に根ざした戦略が不可欠です。市民、国、企業一人ひとりの行動が、グローバルなリスク軽減へと向かわせ、より明るく安全な世界に貢献することができます。」と述べています。

【対象】
SDGsや持続可能な社会づくりに関心を有するすべての者
【入手方法・価格】
無料。以下のURLからダウンロード可能。
https://www3.weforum.org/docs/WEF_The_Global_Risks_Report_2024.pdf
【問合せ先】
World Economic Forum (contact@weforum.org)

リンク

報告書
要約