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【イベント概要と背景】
2025年4月8日、カナダのウォータールー大学に設置されているClimate Institute(気候研究所)
は、オンラインで「Accelerating Climate Education for the Next Generation of Professionals(次
世代の専門職に向けた気候教育の加速)」というタイトルの全国フォーラムを開催しました。これ
は、カナダ各地の高等教育関係者・専門職団体・研究者らが一堂に会し、大学課程における気
候変動教育の統合に関する実践的な対話と連携を深めることを目的としたものです。
【主要セッションと登壇者】
フォーラムは、先住民族知識の継承者であるMyeengun Henry氏(ウォータールー大学)による
歓迎スピーチで幕を開け、続いてサステナビリティと気候教育の推進に取り組むElizabeth
(Shirt) Gamble氏(GLOBE Series代表)による基調講演が行われました。その後、ウォーター
ルー大学Climate Instituteが実施した気候教育に関する調査結果の共有があり、建築・都市計
画・工学・会計など異なる専門分野における教育内容の事例発表と意見交換が行われました。
【パネルディスカッションにおける提言】
参加者による対話を通じて、以下の5つの優先的アクションが提言されています:
1. 大学間の連携強化
カリキュラム・教材・評価ツールの共有を促進し、学生が複数大学のリソースを活用でき
る柔軟な枠組みを整備すること。
2. 学際的教育の拡充
技術・社会・経済・健康といった多様な領域を横断的に学ぶことで、複雑な気候課題に対
応する力を育てるべきであること。
3. 学生リーダーの支援
学生によるプロジェクト実施・提言・実社会での活動が、教育の一部として組み込まれる
ことが重要であること。
4. 実践的スキルの育成
気候不安に対応しながらレジリエンスを高めるためには、問題解決や意思決定を伴う体
験型学習の導入が必要であること。
5. 制度的な後押しの活用
大学のサステナビリティ方針や気候危機への宣言といった既存の枠組みを活かして、学
内外での気候教育の位置づけが強化されるべきであること。
【今後の展望】
このフォーラムは、ウォータールー大学気候研究所がカナダ天然資源省の気候変動適応プログ
ラムの資金援助を受けて実施している「次世代の専門家のための気候教育の促進(ACE)」プロ
ジェクトの一環で開催されました。大学レベルでの気候変動に関する教育内容の標準化・制度化
を進めるにあたり、カリキュラム設計者・教育研究者・実務家が連携する重要性が再確認され、
今後の実践的な動きが推進されることになります。
発表日:2025年4月17日
出典:University of Waterloo Climate Institute