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発表日:2025年5月13日
■ 教師育成を通じたグリーン経済の推進
サブサハラ・アフリカの複数の大学が、他の国内外の高等教育機関と連携し、持続可能な開発の担い手となる教師を育成する「Sustainability Starts with Teachers Leadership(SST-L)」プロジェクトを開始した。
この取り組みは、グリーン経済への移行に必要なプロセス(カーボンフットプリント、天然資源の持続可能な利用、包摂性など)を理解し、伝えられる人材の育成を目的とする。
ザンビア大学のマノア・ムチャンガ博士は、気候変動教育には行動変容を促す態度やスキルが不可欠であり、現在は多くの教育機関でその統合が不十分であると指摘。
■ 教員大量育成と国際共同プロジェクトの展開
SST-LはErasmus+の資金支援を受け、UNESCOを含む13の大学・機関(ザンビア、マラウイ、ケニア、南アフリカ、ナミビア、ドイツ、ギリシャなど)による国際共同プロジェクトとして運営されている。
この枠組みのもと、ザンビア大学は「FACE-NDC(Facility for Action for Climate Empowerment to Achieve the NDCs)」プロジェクトにも参画し、教員4万人の育成を目標としている。
同プロジェクトでは、気候変動・持続可能性の内容を授業に組み込むスキルを教師に提供し、生徒を通じて地域社会にも波及させることを期待している。
■ 教育・制度・インフラの包括的強化
FACE-NDCは2023年10月に開始され、2030年までにザンビア国内の正規・非正規教育制度への気候変動教育の統合を目指している。
このプロジェクトは、FAO・UNITAR・UNESCO・ザンビア大学・コッパーベルト大学が協力し、文脈に合った教材開発やカリキュラム整備を行い、2024年11月には新たな国家教育カリキュラム枠組みが発表された。
加えて、農業・林業・エネルギー分野でのグリーン移行を支援するため、人的・制度的能力構築、修士・博士課程奨学金(再生可能エネルギー・気候行動科学)の提供も行われている。
■ 大学発のイノベーション支援と持続可能性研究の拡充
コッパーベルト大学では、UNDP支援のもと「UniPod(イノベーション・ポッド)」を設立。学生に対してデザイン思考、プロトタイピング、教員による技術指導などの機会を提供し、SDG 9(産業とイノベーション)、SDG 8(働きがいのある成長)に貢献している。女性参加比率50%の目標も掲げる。
また同大学では、世界銀行のACE II(アフリカ卓越センター)枠組みのもとで、持続可能な鉱業や自然資源管理、気候変動対応の研究教育も進められており、ザンビア政府の国家気候変動政策(再エネ・スマート農業・気候レジリエンス強化)と連動している。
【出典】
https://www.universityworldnews.com/post.php?story=20250513111820198