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COP30が開幕 「米国抜き」でも前進しなければならない

国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)がブラジル・ベレンで開幕した。
地球温暖化が加速し、地球沸騰化とまで呼ばれる中で、国際社会が協調して温暖化を食い止めていく必要性がますます高まっている。

一方、温室効果ガス排出量世界第2位のトランプ米政権は気候変動と闘う国際ルール「パリ協定」を再離脱の意向を示した。
今後の対策は今後米国を欠く形で進めねばならない。
採択から10年の節目となるパリ協定は、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2度より十分低く保ち、1.5度に抑える努力をすることを目標とする。

しかし、世界気象機関(WMO)によると、2024年の上昇幅は1.55度と単年で初めて1.5度を上回ったと警鐘を鳴らしている。
日本でも今年の夏(6~8月)の全国の平均気温は平年より2・36度高く、統計史上で最も暑かった。
異常気象による洪水被害などは世界各地で相次いでいる。

これ以上の悪化を防ぐには温室効果ガスを減らすほかないが、国別の排出削減目標(NDC)の提出状況は低調だ。
協定は各国に5年ごとのNDCの更新と提出を求めており、2035年までの新目標の提出期限は今年2月だった。
しかし提出が遅れる国が続出したため、提出期限を9月に延長していた。
それにもかかわらず、提出が間に合ったのは日本を含む64カ国と3割にとどまる。

産業革命以前に比べて平均気温上昇を1.5度以下とする目標を達成するには、2035年時点の温室効果ガスの排出量を2019年比で60%削減する必要があるとされる。
しかし、64カ国のNDCを対象とした国連の分析では17%の削減にとどまり、目標達成には程遠い。
各国がどこまで危機感を共有できるかがカギとなる。

途上国が気候変動対策を進めるための資金の支援も主要なテーマとなる。
前回のCOP29では、35年までに支援額の目標を世界全体で官民合わせて年間1兆3千億ドル(約200兆円)とすることが合意された。
しかし、負担のあり方などの議論はまだ具体化されていない。
大口支援金拠出国である米国が離脱したことで、交渉は一層の難航が必至の情勢だ。

協定は、起きてしまった気候変動による被害を軽減する「適応策」の強化も掲げる。
そのため、もう一つの会議の重要な焦点として、
世界全体の進捗状況を客観的に把握し、効果的な対策により温室効果ガスを減らすには、「共通の評価基準」作りが必要とされており、今回の会議でその行方が注目されている。

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<社説>COP30が開幕 「米国抜き」でも前進を:東京新聞デジタル