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COP30における気候議論の最前線に子どもの教育を

発表日:2025年10月30日

■ 概要

● 2024年、気候危機は世界中の数百万人の生徒の就学を妨げ、労働力を弱体化させ、社会開発を大規模に阻害した。国連(UN)および「緊急時教育のためのジュネーブ・グローバル・ハブ」(EiE Hub)は、国際社会に対し、最も気候変動に脆弱な地域におけるレジリエントな教育システムの構築を強く求めている。

● EiE Hubのメンバーは10月28日に声明を発表し、11月にブラジルのベレンで開催されるCOP30における世界的な議論の最前線に、子どもの教育を置くよう利害関係者と世界のリーダーに要求。緊急の介入がなければ、数千万人の子どもたちが教育から遅れるリスクがあり、これは長期的な経済発展と安定性を脅かすとされる。2024年、気候関連の事象により少なくとも2億4,200万人の生徒が教育の中断を経験し、5月だけで1億1,800万人以上が熱波の影響を受けた。

● 気候変動によるショックは、グローバルサウス(南半球を中心とする途上国群)のコミュニティで特に深刻な影響を及ぼしている。頻繁な気候ショックは地域経済を破壊し、既存の不平等を悪化させる。気候関連の災害は、学校の中退リスクを高めるだけでなく、女性、女児、避難民、障害者などが暴力、健康被害、生計手段の喪失、児童婚、早期婚、強制結婚のリスク増大といった保護上のリスクにさらされる。

● ユニセフとラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)の報告によると、政府が介入しなければ、2030年までにラテンアメリカ・カリブ海地域の約590万人の子どもと青少年が気候変動による教育の喪失の結果として貧困に追いやられる可能性がある。フィジーでの報告事例では、気候変動で親を亡くした世帯では、学校中退率や児童労働率が増加する関連性が示された。また、両親を亡くした女児は、男児に比べて5年以内に就職する可能性が26%低く、結婚する可能性が62%高いというジェンダー格差も報告されている。

● 教育システムは、利用可能な気候資金や政府資金のごくわずかしか受け取っていない。2006年から2023年3月まで、多国間気候行動予算からの資金のうち、学校の気候レジリエンスプログラムに向けられたのはわずか2.4パーセントと推定される。EiE Hubは、各国政府、ドナー、市民社会に対し、特に脆弱地域や紛争地域での気候レジリエントな教育システムへの投資増加を呼びかけている。教育への1ドルの投資が国民GDPを約20ドル増加させることから、グリーン・スキルと気候学習をカリキュラムに統合することで、教育がレジリエンスと気候行動のための強力なツールになると強調されている。

【出典】

Inter Press Service
https://www.globalissues.org/amp/news/2025/10/30/41456