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発表日:2025年11月27日
■ 概要
● 気候変動は「人類がこれまでに直面した最大の現代的脅威」であり、特に開発途上国や貧困国でその影響が深刻であるため、教育インターナショナル(Education International)のキャンペーン「Teach for the planet」 の一環として、気候災害に対して特に脆弱なインドとフィリピンに焦点を当てた国境を越えた質的な民族誌学的研究が実施された。
● インドでは、国立教育政策(NEP 2020)や国立カリキュラムフレームワーク(NCF 2023)が、多分野横断的かつ地域に根ざした環境学習や伝統的・先住民の知識の役割を認めているが、中央中等教育委員会(CBSE)による環境学習の義務化にもかかわらず、「気候変動教育に明示的に焦点を当てていない」という点が指摘されている。
● フィリピンでは、気候変動法(2009年)により、初等・中等教育のカリキュラムに中核的な気候変動の概念と原則を組み込むことが義務付けられており、気候変動教育は科学や社会科学の科目に統合されている。また、2013年に導入されたK–12カリキュラムや、2023年のMATATAGカリキュラムは、農業や保全に関連する先住民の知識システムを科学テキストに組み込むことを目指しているが、気候変動教育の要素が主に様々な分野に分散しているため、その関連性の教育が教師の能力に依存しすぎていること、また初期の学校段階から特定の科目が存在しないことが課題と指摘されている。
● 両国とも、気候変動に関する関連教育を組み込むための適切な国家政策とカリキュラム枠組みを持っているが、現場では「ビジョンと実践の間にはっきりとしたギャップ」が存在。このギャップの要因として、中央・州・地方政府間での実施に関する調整メカニズムの弱さ、政党間の対立、そして特定の気候変動教育への予算の欠如が挙げられている。
● このビジョンと実践の隔たりに対処するため、教師に学術的/専門的な支援を提供し、教員不足や労働条件といった教育分野の長年の課題に気候変動教育の実施と併せて取り組むことが緊急に必要とされる。

【出典】
International Education
https://www.ei-ie.org/en/item/31738:climate-education-for-sustainable-futures-a-cross-country-study-of-india-and-philippines







