ホーム > 海外の動き > COP30、CMP20及びCMA7の結果について
  • 中南米
  • 国連機関等
  • 政府
  • 教育研究機関
  • NGO/NPO
  • 会議
COP30、CMP20及びCMA7の結果について

ブラジル連邦共和国・ベレンにて、2025年11月10日から同年11月22日(1日延長)にかけて開催された、国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)、京都議定書第20回締約国会合(CMP20)、パリ協定第7回締約国会合(CMA7)の結果についてお知らせいたします。

1. 日時
2025年11月10日~同年11月22日(1日延長)

2. 場所
ブラジル連邦共和国・ベレン

3. 結果概要
2025年11月10日~11月22日(1日延長)、ブラジル連邦共和国・ベレンにおいて、国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)、京都議定書第20回締約国会合(CMP20)、パリ協定第7回締約国会合(CMA7)、科学上及び技術上の助言に関する補助機関第63回会合(SBSTA63)及び実施に関する補助機関第63回会合(SBI63)が行われ、決定文書等が採択された。
我が国からは、政府代表団長である石原宏高環境大臣を筆頭に、外務省、環境省、経済産業省、財務省、金融庁、文部科学省、農林水産省、林野庁、国土交通省、気象庁、厚生労働省及び関係機関が参加した。

【会議結果のポイント】
⇒COP30は11月10日~11月22日、ブラジル連邦共和国パラー州ベレンで開催。
⇒石原環境大臣が日本政府を代表して交渉団⾧として参加。
•交渉:ナショナルステートメントでは、1.5度目標を達成するために、国際社会が団結することの重要性を訴えたほか、閣僚級の交渉会合に参加し、議論に貢献。
•二国間協議:EU、英国、オーストラリア等と環境・気候変動分野に関する二国間協議を行ったほか、グテーレス国連事務総⾧とも会議を実施。
⇒交渉では、包括的な内容を含む「グローバル・ムチラオ決定」が採択され、①パリ協定10周年、②交渉から実施への移行、③実施・連帯・国際協力の加速の三点を柱とする内容が決定。更に、世界全体での適応に関する目標に関する決定等も採択。これらを「ベレン・ポリティカル・パッケージ」と総称することとなった。
⇒我が国からは、パビリオン、セミナー等を通じて、我が国の脱炭素技術等を発信。

【ベレン・ポリティカル・パッケージ】
①グローバル・ムチラオ決定(カバー決定)
緩和
•温室効果ガス削減目標(NDC)や⾧期戦略の未提出国
に対して、可能な限り早期に提出するよう促す。
•隔年透明性報告書(BTR)が温室効果ガスの削減の実施の取組の進展と、パリ協定実施に残存するギャップを示す。
資金
• NCQGの文脈で2035年までに適応資金を少なくとも3倍に増やす努力を呼びかけ。
一方的措置
•貿易の役割に関する国際協力の強化の機会や課題等を今後検討する

②個別議題の決定
緩和
•緩和作業計画(MWP)の継続を検討。グローバル対話(森林・廃棄物等)の知見等に留意。
適応
•適応分野の進捗測定のための指標を採択したものの、完全な合意には至らず、今次会合の結果をベースに翌年も継続検討することが決定。
グローバル・ストックテイク(GST)
• GST1の成果の実施に関するUAE対話を2026ー2027年に行うことを決定。
• GST2にIPCCの知見及び最良の科学の活用を推奨。
公正な移行作業計画(JTWP)
• 1.5℃目標と公正な移行への経路との関連性を確認。既存の関連する活動整理及び国際協力強化に向けた検討の実施が決定。
※資金、透明性、対応措置、技術、ジェンダー等についても決定

【国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)結果概要】
①伊藤信太郎環境大臣のCOP28への参加石原宏高環境大臣のCOP30への参加
⇒ナショナルステートメントでは、以下のポイントを主張。
• 2050年にネット・ゼロを目指す我が国の揺るぎない決意を改めて表明。
•多国間主義に基づき、世界全体で脱炭素の取組を進めることの重要性を強調。
•全ての国が、野心の高いNDCを早期に提出し、実施にも取組み、パリ協定の野心向上サイクルを回す重要性を主張。
•日本は、1.5度目標に整合的な新たなNDCを提出。JCM等を通じ着実に歩みを進めていることを発信。
EU、英国、オーストラリア等と、閣僚級とバイ会談及び立ち話を行い、気候変動交渉や協力等に関する意見を交換。国連事務総⾧とも会議を実施。

②我が国の気候変動対策の取組発信
⇒ジャパンパビリオンを設置し、日本企業9社の再エネ・省エネ・衛星データ利活用・廃棄物の再生利用等の技術の展示。
⇒石原環境大臣が、「日本の気候変動対策イニシアティブ2025」を発表。IPCC総会の誘致、国際園芸博覧会(GREEN×EXPO2027)の参加呼びかけ等を実施。
⇒JCMパートナー国会合、産業脱炭素化、AZEC、削減貢献量、LNGバリューチェーンからのメタン排出量削減に関する国際協力、トランジション・ファイナンス、グローバル循環プロトコルの公開、温室効果ガス観測衛星(GOSAT)、ASEANとの協力、MIDORI∞INFINITY等の32のセミナーを開催するとともに、多くのイベントに参加し日本政府の取組を発信した。
⇒ジャパン・パビリオンは日々盛況であり、20カ国以上の閣僚等のハイレベルが展示視察に来場するなど、全世界に向けて、我が国の脱炭素技術等を力強く発信した。

【国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)交渉結果】
●カバー決定(「グローバル・ムチラオ決定」)
⇒「グローバル・ムチラオ決定」
ポルトガル語の「ムチラオ(※日本語で共同作業、協働、共に働くの意)」の精神の下、①パリ協定10周年、②交渉から実施への移行、③実施・連帯・国際協力の加速の三点を柱とし、緩和や資金といった分野を横断した幅広い内容が盛り込まれたカバー決定。各項目において、特筆すべき事項は以下のとおり。
⇒ 緩和(NDC、BTR等):IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が提供する最良の科学的知見を認識し、1.5度目標達成に向けた緩和の取組の加速と更なる野心の向上を呼びかける力強いメッセージを発信。NDC未提出国に対して早期提出を呼びかけ。これまでに119か国がBTR(隔年透明性報告書)を提出したことを認識。COP30・COP31議⾧国の下、パリ協定の実施加速、1.5℃目標達成のための国際協力強化、および各国のNDC・NAP実施支援を目的とした、協力的・促進的・自発的なイニシアチブである「Global Implementation Accelerator」の立ち上げを決定。更にCOP29,30,31議⾧国の下、NDCとNAPの野心と実施を可能にし、緩和と適応の両面でその実施加速、国際協力、投資を検討する「Belém Mission to 1.5」の立ち上げを決定。
⇒ 気候資金:昨年のCOP29で合意したNCQG(新規合同数値目標)の実施について議論するハイレベル閣僚級ラウンドテーブルの開催を決定。NCQG(新規合同数値目標)の文脈で、適応資金を3倍にしていく努力の呼びかけ。パリ協定9条全体の文脈での9条1に関するものを含む、気候資金についての2年間の作業計画の立上げが決定。
⇒気候変動に関する一方的な貿易制限的措置:貿易の役割に関する国際協力強化の機会、課題、障壁を検討するため、2026年~28年の6月にITC, UNCTAD,WTOも含めた対話を開催し、2028年にはハイレベルイベントを開催することを決定。

2.主要な議題の決定概要
●カバー決定(グローバル・ムチラオ決定)と、適応、緩和、グローバル・ストックテイク、公正な移行作業計画、透明性等の議題決定を含めて、「ベレン・ポリティカル・パッケージ」と総称することとなった。
⇒ 緩和作業計画(MWP):MWPの継続についてサブミッションを招請。 SB64でも引き続き議論。グローバル対話の成果として、報告書にまとめられた知見等に留意。
⇒ 適応に関する世界目標(GGA):適応分野の進捗を測定するための指標リスト採択は完全な合意には至らず、今次会合の結果をベースに翌年も継続検討することが決定。
今後の指標運用に向けた技術的課題を検討する2か年の「適応に関するベレン–アディスビジョン」の立上げが決定。
⇒グローバル・ストックテイク(GST):GSTの成果の実施に関するUAE対話を2026-2027年に実施。第2回GSTにおいて、IPCCがGSTに重要な知見であることを確認するとともに、利用可能な最良の科学のインプットを推奨。
⇒ 透明性:BTR等の報告及び審査について、2026-2028年に実施する支援について決定。
⇒ 気候資金:NCQGの実現に向けて議論。パリ協定第9条5に基づく資金の事前通報については、事前通報の内容にNCQGに関する事項を含めることを決定。また、資金の流れを気候変動の取組に整合させることを目的としたパリ協定2条1(c)に関する議論を加速させるため、実務者級の対話、ハイレベルラウンドテーブルを行うことを決定。
⇒ 公正な移行作業計画(JTWP):温室効果ガス排出量削減を含む気温上昇を1.5℃に抑える取組と公正な移行の経路の追求との関連性を強調。また、パリ協定に関連する要素、機関等を整理すること、国際協力に関する技術支援、能力構築及び知識共有を強化するための「公正な移行メカニズム」について検討を進めることなどを決定した。
⇒ 技術メカニズム:途上国への技術支援強化のための「ベレン・技術実施プログラム(TIP)」を開始し、2027年から毎年グローバル対話を開催し、2028年はハイレベル閣僚対話を開催することを決定。またCTC(気候技術センター)の役割・機能を見直し、2026年にホストを選定して、2027年から2041年まで期間延⾧することを決定した。

https://www.env.go.jp/content/000356042.pdf