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COP29:気候危機に対する世界的な取組の進展と課題

【情報源】
セルプレスジャーナル
CellPress Partner Journal

【概要】
2025年1月6日

アゼルバイジャンのバクーで開催されたCOP29では、気候緩和への対処資金源の問題(気候ファイナンス)、世界の炭素市場の問題点、エネルギー転換、気候の緩和と適応、人間開発が主な議題として話し合われた。

●気候ファイナンス

COP29は「Finance COP」と呼ばれ、気候資金に関する新たな集団定量目標(NCQG)の策定を優先課題とした。気候資金に対しては、気候変動の緩和、適応、損失、損害、および次のNDCの達成のために、2035年までに開発途上国に年間最低3,000億ドルを提供することが求められた。

●世界の炭素市場の問題点

世界の炭素市場は、炭素排出量をコスト効率よく削減するための具体的な実施ガイドランが欠けているという問題点がある。その為、COP29において世界の炭素クレジットの運用と規制を促進することを目的に交渉が展開された。

●エネルギー転換

エネルギー移行目標の実施に重点が置かれ、水素が費用対効果の高い再生可能エネルギー源として注目された。中国とサウジアラビアは産業の脱炭素化における水素の役割を強調し、水素の協働イニシアティブの舞台を整えた。しかし、先進国と発展途上国はGST(物品サービス税)の実施につてコンセンサスに達することができませんでした。

●気候の緩和と適応

デジタル技術を活用して、気候変動の緩和、適応、早期警戒システムを実現させるための「グリーン・デジタル・アクション宣言」を推進させることに合意。

メタンと非CO2GHG削減に関して、有機廃棄物からのメタン削減に関するCOP29宣言を採択し、2035年のネットゼロ目標に対して対策を加速させることとなった。

また、農業が重要なGHG排出源であるとし、気候変動に強い農業食品システムの開発を支援するために、農家のためのバクー・ハルモニヤ気候イニシアチブを立ち上げた。

●人間開発

気候変動への理解と、対策に必要な知識とスキルを身につける上で、教育が重要な役割を果たすことが強調された。気候変動は人類の発展に大きな脅威をもたらし、2050年までに最大12億人が避難を余儀なくされる可能性がある。その為、COP29において「COP休戦アピール」プロジェクトを開始し、紛争予防、脆弱な人々への支援、平和構築の取組を呼び掛けると同時に、「子どもと若者のための気候に前向きな教育の重要性」を強調した。

●残された課題

COP29では、気候変動対策の資金と行動において進展を遂げましたが、いくつかの課題が残っている。その一つが気候変動対策の「科学的評価」である。気候変動の経済的影響は深刻で複雑化している。その為、対策を策定するには様々なセクターへの直接的および間接的な影響を考慮した定量的評価システムが必要となる。更に、気候変動緩和分析を統合することで、緩和戦略の実現可能性を高めることに繋げる必要がある。

【資料 】

CellPress Partner Journalによる記事は以下のURLから確認することができます。

COP29: Progresses and challenges to global efforts on the climate crisis – ScienceDirect