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【北極圏の現状】
北極圏が問題に見舞われている。
先月は部分的に平年を20度上回る気温を観測し、月末には海氷面積が2月として過去最小を記録した。
各月の最小記録を更新するのは3カ月連続となる。
米海洋大気局(NOAA)が昨年12月に公表した観測結果によると、北極圏は現在「新たな領域」に入っている。
そこでは海氷の喪失や海水温の上昇といった兆候がいつも記録を更新するわけではないが、
過去との比較で常に極端な水準を維持するという。
【北極圏の問題の影響】
北極圏の問題は、地球全体の気温と気候システムに影響を及ぼす。
米国立雪氷データセンターの幹部を務めるトウィラ・ムーン氏は北極圏を「地球のエアコンのようなもの」と説明する。
北極圏の減退は地球温暖化を加速し、海面上昇を促進し、気候の極端化に拍車をかけるとみられる。
北極圏は気候変動の早期警戒装置であり、海氷の喪失は問題発生の明確な兆候だと、科学者らは指摘する。
本来この時期の海氷面積は年間最高水準に達しているはずだが、実際には過去最低を記録している。
北極圏の海氷面積は、夏の終わりの9月に最小となる。
過去18年間その水準は最低記録を更新し続けており、今後もその傾向は変わらないと科学者らはみている。
北極圏では夏の一時期に海氷が消滅する事態が2050年までに起きるとされる。
人類が温室効果ガスの排出を止めてもそれは変わらない見通し。
独ハンブルク大学で海氷研究を統括するディルク・ノッツ氏らが執筆した報告で明らかになった。
同氏はCNNの取材に対し、そうした海氷消滅を食い止めるには「基本的にもう手遅れの状況」だと述べている。
【今後予想される影響】
北極圏が温暖化すれば氷河や氷床の融解が進み、海面上昇が加速する。
グリーンランドの氷床は現時点で既に年間2800億トン減少しているが、
これはマンハッタン全体を厚さ3.2キロの氷の層ですっぽり覆う量に相当する。
急速な北極圏の温暖化でジェット気流が弱まると、気候システムも変化する。
それによって数十億人の人々が影響を受けると
ウッドウェル気候研究センターの上級科学者ジェニファー・フランシス氏は指摘する。
ジェット気流の向きが不安定になれば種々の気象条件は一段と長期化し、
熱波や寒波、干魃、暴風雨などがなかなか収束しない事態を引き起こすという。
【情報源】
CNN News
https://www.cnn.co.jp/fringe/35230449.html