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ごみは、無関心がかたちになったもの。イベントで、関心をつなぐ

ライフスタイルの中で体感する「ごみ」「かんきょう」を、地元の中高生へ。創作披露の機会をクラウドファンディングで実現
 
 「全国フォーラム」翌日の11月27日、私は横浜ワールドポーターズで「かんきょう文化祭」を見学していた。イベントの発起人、武松昭男氏が代表理事を務める「かんきょうデザインプロジェクト」の取り組みは、横浜市内のリサイクル施設や農家を訪問する体験ツアーの他、6つのプログラムで構成。文化祭は、昨夏から学生が実践を重ねてきた古着リメイク、フォトコンテスト、廃材ものづくりワークショップの成果発表会の位置付けだ。中でも、写真を複数組み合わせて作品を作る「組写」のフォトコンテストは2010年から継続する。撮影技術を競わず、身の回りの日常を記録することで環境の変化を感じてもらうことを主眼とし、プロが選ぶのではなく、誰もが審査員として投票に参加できる方式とした。
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「入口から出口まで終始一貫、体感することで、学んでもらいたい。」
 再生資源事業者で構成される団体で「G30(※)推進担当」の経歴を持つ武松氏の方針は、廃棄物処理事業者ならではの発想に基づいている。学生時代、古着やフェアトレードによるファッションショーにふれる機会の多かった私も、企画の初めや終わりのみに参加することで「学び」が得られるのかという問題意識があった。今回のショーでは、洋服づくり(古着リメイク)に協力したリメイクアーティストも、工場見学の段階から学生と一緒に参画。工場見学の参加学生の一部は、継続して洋服づくりへ。文化祭での成果発表(ファッションショー)まで、中学生やバレエスタジオの学生など新しいクル―を迎えながら、学生が終始一貫、体験する「学び」の方針の徹底ぶりに驚いた。
(※)横浜市が平成22年度までの「ごみ量30%削減」目標にむけ、平成13年から市民・事業者に対して分別・リサイクル行動を呼びかけた「横浜G30プラン」に基づく
 
 この活動およびイベントの魅力を環境意識の醸成と創作活動の両輪を実現することと捉えていたが、ショー披露後の学生のスピーチから、活動報告だけでは知りえなかっただろう、つくり手・踊り手の学生同士の心の交流という成果にもふれることが出来た。また当日は、応援に来ていた教師の評価、参加者学生から保護者の評価についても話を伺うことが出来たが、周囲の大人のサポートもまた、ESD普及・推進のための重要な要素であると再認識した。
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 後日、武松氏へのインタビューでは、足もとの拠点、横浜に対する慈愛に満ちたまなざしを垣間見た一方、社会全体を俯瞰し、鋭い問題意識も持っていたことが、私にとって大きな「学び」であった。ごみ問題(廃棄削減)にアプローチする「かんきょう文化祭」は、「G30」からの横浜市の環境行動指針とリンクするものと言える。改めて足もとに目を向けると、まちの魅力づくりの観点で環境施策に力を入れ、市民の参画を促してきた横浜市では今、平成37年まで見据えた「G30」の先を目指す新プラン「ヨコハマ3R夢(スリム)!」で、3Rの中で最も環境負荷低減につながるリデュース(発生抑制)で、ごみそのものを減らすライフスタイルへの転換に力が入れられているという。「フードロス」や「もったいない」というキーワードに世間の注目が集まっている昨今。そんな社会動向も意識し、いち市民として市の取り組みを応援していくことはもちろん、時に批判的な視点で、徹底的に見つめなおす姿勢も必要である、という気付きを得た。

訪問先

かんきょう文化祭
一般社団法人 かんきょうデザインプロジェクト代表、武松昭男氏が「LOCAL GOOD YOKOHAMA」(運営主体:NPO法人 横浜コミュニティデザイン・ラボ)を活用して呼びかけた80日間のクラウドファンディングと、企業・団体からの協賛金により実現。「中高生に、ライフスタイルの中にエコロジカルな考え方をいつも持っていて欲しい」という思いから企画された6つのプログラムの中から、3つの体験型学習の集大成を発表・紹介。

記入者

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腰塚 安菜(オーガニックライフスタイリスト)
1990年生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。オーガニックライフスタイリスト。
日本第一号オーガニックコンシェルジュ岡村貴子氏のもと日本最年少(18歳)で資格を取得。2010年、オーガニックライフスタイリストの認定を受ける。
2011年、末吉里花氏主宰の「フェアトレードコンシェルジュ講座」を修了。
一般社団法人ソーシャルプロダクツ普及推進協会が主催する「ソーシャルプロダクツ・アワード」(今年度5周年)に第1回から審査員で参加。