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国際都市・函館でアットホームな地域交流、小さな「地球」を体感

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2017年10月28日、第13回「地球まつり」が函館市青年センターで行われた。
函館市内の国際交流・国際協力活動をしているNGOやNPOが一堂に会し、ワークショップやステージイベント、函館市内の留学生による各国の料理が楽しめるイベントで、
地域の学生、各国からの多国籍な留学生、家族連れや高齢者まで、様々な市民が来場し盛り上がる。
 
昨年より運営に携わっている北海道レポーター・斎藤、今回、東京から初参加した関東レポーター・腰塚がそれぞれレポートする。
 
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(斎藤) 【地域と多文化のつながり】
「地球まつり」は、函館市内の国際交流・国際協力団体を中心に実行委員会を立ち上げ、団体の相互情報交換のみならず、活動を広く市民に知ってもらうとともに、参加者の対象を限定せず、あらゆる世代の人が多様な文化や考えを学ぶための地域に根ざしたイベント。今年度は遊びやクイズを通して各国の文化を函館にいながらにして学び、考え、親しむことのできる場として開催した。
 北海道国際交流センター(HIF)は事務局として運営に携わり、参加団体や地元の大学生・外国人とコミュニケーションを取りながら、市民と多様な文化の繋がりを深める役割を担っている。小規模ではあるが、地域でこうした国際交流の体験を積み重ね続けることで、あらゆる視点を持った人の考えや行動、経験が地域に還元され、地域社会と人がより豊かなものとなっていくのではないだろうか。今後さらに学びの場を充実させ、地域の一員として多文化共生社会へ貢献していきたいと思う。
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2016年度(第12回)のようす(撮影:齋藤)
 
(腰塚) 【地域密着×外国の風を体感】
2017年3月に初めて函館市を来訪してから「多様性を生かしたまちづくり」を行っていると聞き、この地域に興味が湧いていた。
年に1度開催されるという大きな国際交流イベントがあると情報をもらい、再訪。雨の東京から函館に到着すると気持ちの良い陽気で、まつりの開催にとってベストな一日だったことを覚えている。開会式で、地域で活動する逢坂衆議院議員のスピーチがあり、「昨今の社会で多様性を排除するようでいてはならない」という意見、「この『地球まつり』を市民に開かれたイベントのひとつのモデルとしてアピールしていきたい」という思いにも触れた。
当日はアットホームな会場の空気を感じながら、時間が許す限り、場内での「体験」を楽しんだ。JICA北海道(札幌)ブースでは伝統衣装を試着し、昼食で「HIFホストファミリーの会」や学生がもてなす各国の伝統料理を味わい、斎藤さんや「にこにこ こども食堂」のメンバーと一緒に、ちょうど3日後に控えたハロウィンのペーパーランタンを制作。帰京前には学生によるダイナミックな「ソーラン節」のステージを鑑賞し、観客席の歓声と会場の熱気から、「地球まつり」への市民の期待が大きいことも体感することが出来た。
 自分の足元のまち、横浜も函館と同じ「開港5都市」であり、今回函館を訪れ、イベントの内外で目にした広報物からも「国際」の風を感じ、親近感を感じたのだと思う。「世界の文化に親しむことができる、地域密着型のイベント」。この枠組みが、広く、他の自治体へ横展開されていけば嬉しい。
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タイ・韓国・ロシアなど「世界の料理」を提供(撮影・腰塚)
 
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【国際化にむけたインクルーシブな社会づくり】
「函館の国際化」について、より詳しく教えてくれたのは、ESD-Jの理事も務めるHIF事務局長の池田誠さんである。
池田さんは「国際化が進む函館市だからこそ、インクルーシブ(包括的)にしていかないといけない」と話し、外国人、障がい者、高齢者など様々な人々と積極的に交わっていくことの重要性を強調。HIFとして「多文化共生」をテーマに掲げたプロジェクトや、誰でも参加できる「にこにこ こども食堂」を運営している。
 「にこにこ こども食堂」はこどもに食事を提供することだけが目的ではなく、利用者は多様な背景を持ち、日本語を学ぶ留学生も一緒に交流するというユニークネスがある、と池田さんは教えてくれた。昨今の「こども食堂」についての世論である程度知識は得ていたが、こうした地域ごとの様相は実際に地域に出向き、話を聞いてみないと分からないことを痛感した。「こども食堂」は大人でも、誰でも参加できる、と知ったことで「実際に参加すること」が次の目標である。
 広い意味での「ダイバーシティ(多様性)」の尊重とは異なり、「インクルーシブな社会づくり」という地域特有の課題については、メディアからの情報だけに頼っていても分からない。その経年変化を知るために、そこに在住し長く活動する有識者にヒアリングすることや、地域の「今」を知るために、自分の足で地域を歩き、この目で確認することが重要だと考えさせられた。
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訪問先

地球まつり・地域について
「地球まつり」は2004年に始まり、2017年で13回目を迎える。国内最大級の国際協力イベント「グローバルフェスタ」(東京)や「ワンワールドフェスタ」(大阪)に続き、開港都市、友好団体の多い函館だからこそできる「まつり」として、国際交流連絡協議会により、函館でも開催の運びとなった。企画・運営にあたり、各国際交流団体、各大学関係組織、JICA北海道(札幌)、北海道国際交流センター(HIF)などで構成される「地球まつり実行委員会」が主催となって、共催の函館市青年センター、後援の函館市とともに数回にわたる検討会を実施。年ごとにテーマが設けられるが、第13回は「地球をクイズと遊びで楽しもう」をテーマに開催された。

記入者

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齊藤 美悠(一般財団法人 北海道国際交流センター)
北海道函館市出身。短大を卒業後、北海道へUターン。所属団体において、留学生を対象とした北海道でのホームステイプログラムなどの国際交流事業を担当。団体のミッションである「多様性を共に支え合う社会づくり」をホストファミリーや留学生、関わる地域の方々と実現を目指している。
2015年から“大沼ラムサール女子会”のメンバーとして七飯町大沼の自然環境・食の恵みなど様々な魅力を発信している。
 
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腰塚 安菜(オーガニックライフスタイリスト)
 1990年生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。オーガニックライフスタイリスト。
日本第一号オーガニックコンシェルジュ岡村貴子氏のもと日本最年少(18歳)で資格を取得。2010年、オーガニックライフスタイリストの認定を受ける。
 2011年、末吉里花氏主宰の「フェアトレードコンシェルジュ講座」を修了。
 一般社団法人ソーシャルプロダクツ普及推進協会が主催する「ソーシャルプロダクツ・アワード」(今年度6周年)に第1回から審査員で参加。