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SDGs×ESD 世界の課題を、足もとの課題と結びつける

「ESD第2ステージ」と銘打たれたESD推進ネットワーク全国フォーラム。「第2ステージ」という言葉に、我々ユースという位置付け・レポーターという役割が、いかに「ESDの10年」を経て残された課題や、新しいテーマにアプローチし、ESDの概念の理解・浸透に寄与しうるかが問われている、と感じられた。本レポートでは全国フォーラムの第1部を中心にまとめ、新しいテーマである「持続可能な開発目標(以下SDGs)」とESDの関連を、私なりに紐解きたい。
 
基調講演/国連広報センター所長に学ぶSDGsと教育の力
― 第1部で講師を務めた根本かおる国連広報センター所長は、マスコミからWFP(国連世界食糧計画)広報官、国連UNHCR協会(国連難民高等弁務官事務所の募金・寄付の公式支援窓口)事務局長、フリージャーナリストなどの幅広い経験を経て現職。
― 国内では今年5月にSDGs推進本部が設置され、年内に「ハイレベル政治フォーラム(HLPF)」が開催されるという動向がある一方、グローバルでは、この15年で気候変動・地球温暖化、先進国の中での格差といった新たな課題が浮かび上がっていると報告。
― SDGsは「2030年に向けた地球の『マスター・プラン』」であり、途上国・先進国の垣根を超え、日本国内の問題もカバーするものであると強調。その策定にあたっては、ミレニアム開発目標(MDGs)での積み残し課題(※)をふまえて「幅広いコンサルテーション」が行われたという経緯を説明。   
(※)数値目標に対して進捗度合いを図りながら進めたが、発展途上国での妊産婦死亡率などが「積み残し課題」となったという、ステークホルダーの中での共通認識。
 
 根本氏は、国連広報センターが発信する具体的広報物を用いて、ESDの存在がグローバルの舞台でいかに重要であるかを明らかにした。
 
事例① 「国連総会でのマララさんの言葉」 “Education is Hope, Education is Peace”
―脅迫、親と子の別離などを経験したマララさんのメッセージは、女子教育の解決が他の
グローバル・ゴールにも結びつくという「不可分性・統合性」を示唆しているとして紹介。
―教育には、どんな副次効果ももたらせるということを、根本氏は「持続可能な開発は教育から始まる」という言葉でまとめた。
 
 また、SDGs策定における「幅広いコンサルテーション」の具体例に「消費者教育」「(企業の)本業を通じた社会課題の解決」といったアプローチを示し、いくつか映像を用いた紹介があった。特に印象強かったのは、以下の映像である。
 
事例② 「Wannabe」リメイクキャンペーン動画 “#WhatIReallyReallyWant”
―1996年のスパイスガールズのヒット曲に乗せて、女性暴力の廃絶、女性への教育の提供など女性の権利に対するメッセージを伝えた映像を紹介。
― エンターテインメント業界は、このような映像作品でのコミュニケーションで女性のエンパワメントに参画、協力できると解説。映画監督やセレブも巻き込むことにより、SDGs広報の「アクティブ化」が図れることが示唆された。
 
 講演の最後に、国連が必ずユースから声を聴く場を設けているということ、首脳、ジャーナリストばかりでなく、若者(ユース)の声が求められていることが報告された。
 SDGs採択から1年の活動報告動画を見ても、いかに若者が中心であるかが読み取れ、「SDGs Young Leaders」では今年、世界から17名が選出されたが、来年は日本人からの選出も望まれるという。
 これから「ESD第2ステージ」に向かう推進の担い手として活動する、我々ユースにとって鼓舞される内容だった。
 
総括/SDGs、ESDの普及啓発はそれぞれの推進主体の歩み寄りから
 本レポートでは「国際・国内を『つなげて考える思考』がキーワード」という根本氏の言葉から着想を得、「世界の課題を、足もとの課題と結びつける」 をテーマに設定し、SDGs×ESDの橋渡しの可能性を考えた。
 第1部の開会挨拶で、ESDの現場が歩んできた10年、30年を時系列で振り返り、「誰も取り残さない」というSDGsのスローガンが紹介されたが、変化のない、解決できていない「取り残された」課題があるとすれば何なのか、と考える機会があった。その後、根本氏の講演の中で、ESDの普及推進活動にとって肝要な、ある課題が見えて来たと感じる。それは、SDGsとの比較で見えてきた「ESD広報」の課題である。
 
 第1部後半のパネルディスカッションでは、各パネリストの意見から、ESDは企業を中心に認知率、普及力が足りておらず、SDGs広報の訴求力に及んでいないことが明らかになっていた。
 ディスカッションの中で、「グローバル課題のコンテクストが強かったSDGsに、国内の貧困問題や母子家庭なども入れ込むことが出来る」という意見があったように、ESDとは、SDGsの目標4における一施策、と単純に捉えるのではなく、むしろ17の目標全てをカバーする上位概念と捉えることも出来るのでは、と考えた。
 また、パネリストの中の唯一の企業視点で、損害保険ジャパン 日本興亜株式会社CSR室の関氏から、「(CSRに代わる)よい共通言語が出来た」という意見があり、SDGsというキーワードは今後、ますます「世界の共通語」となっていくだろうと確信できた。
 今後の普及啓発に大きく関わるESD広報にとって、SDGsのこれまでのあゆみや、成功事例から学べることは大きいと考える。
 
 私は、SDGs、ESDそれぞれで活動するセクター・個々のアクターが歩み寄り、互いの理解を深めることで広報力を増し、大きな力にしていけるだろうと考えている。
 全国フォーラムの第2部、3部ではしばしば「国連の目標は、地域の教育現場の視点に立てば、遠く、大きすぎる目標にしか映らない」という意見があった。教育現場は、「グローバルの課題は、政府や国連機関だけのもの」と括ってしまうのではなく、「2030年に向けた地球の『マスター・プラン』」であるSDGsの一端を担っているという当事者意識で、SDGsの17の目標をいかに次世代に伝え、足もとの地域で教えるかという役割で貢献できるのではないだろうか。
 
 さらに、全国フォーラムの講演やパネルディスカッション、各セクターからの参加者との交流において、ESDの現場の課題のひとつが「広めたい、教えたいのに上手くいかない」ということと認識出来、自分もまたステークホルダー間のコミュニケーションをフォローする主体として参画し、貢献する余地があるのではないかと可能性を感じることが出来た。
 「世界の課題を、足もとの課題と結び付ける」という意識で、足もとの地域から世界へ視点を広げ、地域のESDの取組みをSDGsの実践へと橋渡す行動に繋げていきたい。

訪問先

ESD推進ネットワーク全国フォーラム2016

記入者

腰塚 安菜(オーガニックライフスタイリスト)