朝起きがけに飲む1杯のコーヒーから、サステイナブルな世の中を考えてみよう。
今回取材をしたのは、愛知県日進市でAoyagi Coffee Factoryを営む青柳信弥さん。インタビュー中に筆者が印象的だと感じた発言をキーワードにして、「私のまちのESD実践者」の活躍を紹介したい。
社会的意義のあるコーヒー豆を焙煎中
「サステイナブルじゃなかったらうちでは扱いません。」
Aoyagi Coffee Factoryでは、フェアトレードや有機JASといった、生産者や地球環境に優しいサステイナブルコーヒーしか扱わないという理念がある。すなわち、Aoyagi Coffeeでは何を購入しても、それが国際貢献や環境に良い行いに繋がる有意義な買い物となる。
また青柳さんは、NPO法人フェアトレード名古屋ネットワークの理事としての顔も持ち、グローバルな社会の仕組みをローカルな場面で分かりやすく伝えるべく活動している。「結局自分たちのとこだけで内輪でやっていても、いかんじゃないですか。」とその熱意を語ってくれた。
「学生さんと関わると、自分のやっていることを再確認できます。」
青柳さんの活動でここ数年増えてきているのが、学生との交流である。高校生団体や大学のボランティアサークルなど、様々な場面で学生と積極的な関わりを持っている。これこそまさにESDだ!と感じる点なのだが、青柳さんいわく、「若者に教えているという感じよりは、自分の活動を再認識することの方が大きい」のだそうだ。若者からのストレートな問いかけに対し、「もっと自分の活動を分かりやすく説明できるようになろう」と向上心を持って若者と交流しているのである。
フェアトレード・ツキイチマルシェで中学生に活動を説明
「異業種交流があって刺激も受けるし、日々勉強になっています。」
青柳さんはまた、日進市の商工会青年部副部長も担っている。商工会にESDの側面を探してみると、地域連携や事業承継というキーワードが見えてくる。「にっしん夢まつり」や「日進市産業まつり」など、地域と住民をつなぐ重要な役割を果たす中で、「同じまちで暮らし、事業を営む人々から学ぶことは多くあります」と話す。商工会のネットワークは県外にも及び、活発な情報交換を行っている。貧困や環境問題など、大きなテーマを内包するサステイナブルコーヒーを取り扱う中でも、ご自身の足元を見落とさず、地域貢献をする姿勢に感銘を受ける。
「人生の満足度みたいなものは、上がってはいます。ちょっとですよ笑。」
今後の展望として、「まずはもう少しお店の利益を向上し、安定させることです。」とお話されていたが、併せて意識しているのは生活の中での満足度である。金銭的な価値だけではなく、現在の働き方や家族との時間など、総合的なものだと青柳さんは語る。
持続可能な開発の定義は、「将来の世代のニーズを満たしつつ、現代の世代のニーズも満足させるような開発」である。ESD実践者による社会貢献と、実践者自身の生活の充実のバランスは、活動をサステイナブルに継続するために必要不可欠な要素である。
今回のインタビューは、Aoyagi Coffee Factoryと青柳信弥さんの今後の活動を追いかけることで、「私のまちの持続可能な開発」を感じる素敵な時間となった。
あなたの起きがけのコーヒー、サステイナブルにしてみては?
訪問先
青柳 信弥さん愛知県日進市でAoyagi Coffee Factoryを営む。フェアトレードなごやネットワークの理事や日進市商工会青年部副部長も務める。筆者が「今度学校でフェアトレード商品を作りたいのですが。」と声をかけたところ「できますよ!」と即答・快諾していただき繋がりが生まれた。「ESDを考えつつ、サステイナブルコーヒーでほっと一息いかがでしょうか?」
記入者
内藤 圭祐(名古屋国際中学校・高等学校 教諭)
名古屋国際中学校・高等学校教諭・英語科主任。ユネスコスクール担当として校内ESDに関わる。同校では「多文化共生と減災」「経済活動と貧困」「社会生活と循環」をESDの学習テーマとして設定し、これらを深く学習する学校設定科目「SIA特論」の授業を担当している。(SIAはSustainability in Action !の略)