留学生と中学生、地域をつなぐ
「Viva ESD~国際交流~」と題し、長期休みの学習登校日に合わせ、各国出身のゲストを招き、中学生に対し、自国の文化や自国の抱える問題についてSDGsに関わる内容を発表してもらい、中学生からゲストに対し、地域の情報を提供した。
地域で中国語の通訳を行っている中国の方を招いた際には、導入で中国語で自分の名前の発音を教えてもらい、中国語や中国の文化に興味を持つ生徒が多かった。ゲストの方が、一人一人の名前を丁寧に発音することで、ゲストとの距離も縮めることができた。また、日本語にもある「きらきら星」の歌を中国語で一緒に歌い、中国にも日本と同じ音楽があることを知ることで、中国との共通点を知ることができた。
<中国出身のゲストからキラキラ星のうたを中国語で教えてもらう様子>
また、地域の語学学校に通うスリランカ人の方を招いた際には、第二次世界大戦後、日本を救ったのは、スリランカであるという話を聞き、日本とスリランカの友好の深さをしみじみと感じる生徒がいた。お互いに仏教国であるという共通点を知り、長年支え合ってきた国であることを実感することができた。
その他、ギニア、ペルー出身の留学生をゲストとして招くこともできた。
今回の授業実践のほとんどは、地域の日本語学校に通う外国人留学生の協力を得て、実現することができた。彼らが、私の目指す開発教育の在り方を理解し、大変協力的であったことが成功に繋がった。
今回の授業実践の中では、ESDの要素を含む交流にするためには、単なる“国際交流”で終わらせず、「地域との繋がり」を意識した活動を仕組みたいと考えた。
今までなら、「地域との繋がり」と言えば、その地域に長年住んでいる方から、地域の魅力を教えてもらうことだった。しかし、“国際交流と地域交流“=”自発的な交流“を促すために、異国の地から私たちの地域にやってきた外国人留学生の気持ちを知り、中学生から外国人留学生に地域の紹介行うことにした。この地域でずっと育ってきた生徒たちが自慢の地域の紹介をするという設定にしたため、意欲が増し、地域に対して愛着を持つことにも繋がった。
当日は、外国人留学生に対して、地域で困ったときにどこに相談しに行くとよいか、おすすめのレストラン、桜がきれいな場所を提案し、発表した。外国人留学生からの評価もよく、生徒たちが学習してきた内容を少人数ではあるが、外部に発表する機会を得たことで、生徒の自発的な交流に繋がった。
<留学生に地域について紹介するために生徒が作ったプレゼンテーション>
今回、「対話」を重視した活動が学校内で行うことができ、嬉しく思う。そして、地域との繋がりを外国人留学生を通してできたことで、生徒が地域への愛着や新たな発見ができた。今後は、自分の学級だけではなく、通常学級、特別支援学級など、多くの生徒を巻き込んで活動していきたいと思う。
訪問先
岐阜市立境川中学校記入者
野村 佳世
(岐阜県岐阜市教員/Go4BioDiv日本人メッセンジャー/ESD Poca Pocafe in GIFU)
2005年、愛・地球博に参加して以来、開発教育の研究を行う。一般企業に就職するが、開発教育を教育現場で実践し、広めたいという願いから、岐阜県の教員になる。海外生活の経験や語学の堪能さを生かし、社会科・外国語を担当し、授業では、開発教育・ESDの実践を行っている。2010年COP10では、Go4BioDiv日本人メッセンジャーの代表として、各国のユースと世界遺産保護について考え、発表する。その後、ユース・コンファレンス、JICA教師海外研修などに参加し、国内外で、開発教育・ESD・SDGsの実践を発信している。2017年より岐阜県内の外国人留学生や教員と国際理解教育の実践について、語り合う会“ESD Poca Pocafe in GIFU”を定期的に行っている。