ホーム > #ESDワカモノ > つながれ!地域と中学生 ~公民館の取り組みから~
つながれ!地域と中学生 ~公民館の取り組みから~

いつからだろうか。人と地域のつながりが希薄化してきたのは。いま、失われたつながりを取り戻し、新たなキヅナを創生する。
 
 いまの子ども達は、どれくらいの大人と関わっているだろうか。特に、中学生の多くは授業と部活で生活の大部分を学校で過ごす。塾や習い事といった場もあるだろうが、こうした生活の中で子ども達が出会う大人は、ごく限られた世代や立場の人々に過ぎないのではないだろうか。そのような状況にあって、子ども達はこれから訪れる予測不可能と言われる社会に必要な社会性やコミュニケーション能力を身につけることが求められている。
 こうした背景から、子ども達が多様な世代や立場の方々と関わるための場の必要性は高まっていると言える。
 では、どうやってその機会を設けるか。岡山市立桑田中学校に通う中学生有志が参加した、地域の方×中学生の交流を目的とした大元公民館のプログラム『桑田中学校区のことをもっと知ってもっとよくしていくためのワークショップ』に注目した。
 
○ 12/3(土)地域フィールドワーク『ウォーキング大会』
 まず、地域を知るためのフィールドワークとして、地元のウォーキング大会に参加した。子ども達は、町を歩きながら地域の方にインタビューをしたり、写真を撮ったりする中で、気付きや学びを得ることができた。初めは緊張していた子ども達も、徐々にコミュニケーションを取ることができるようになり、年配の方や小さなお子さん連れのご家庭など、多様な世代の方々との交流を通して今までは見えていなかった地域の側面に気付くことができた。
eguni
eguni_001
 
○ 1/14(土)地域ワークショップ『桑田学区大自己紹介大会』
 続いて、公民館でのワークショップ『桑田学区大自己紹介大会』が行われた。まず、一人ずつマイクを持って自己紹介をした。その後、グループに分かれて、地域の方から昔の地域の姿や時代の変化を学んだり、子ども達も最近の中学生の様子について地域の方に話したりして交流をした。最後に、参加者全員で桑田中学校校歌を合唱し、絆を深めた。
eguni_002
 
○ 子ども達と地域の方の気付きや学び
eguni2
 
 フィールドワークとワークショップという2つの活動を通して、子ども達はESDで育みたい力である「コミュニケーション能力」を養い、「人間の多様性」に気付くことができただけでなく、何気なく住んでいた地域を今までとは違った視点で捉えることができるようになり、また、自分達が見ている今の地域の姿は、多くの人々の努力によるものだということに気付くこともできた。今回の取り組みは、子ども達は地域とつながり、地域の方も未来を担う子ども達と直接交流することができ、今後も協働して子ども達を育んでいこうという前向きな気持ちが強まるきっかけになったと言えるだろう。
 最後に、地域の方から中学生に向けてのメッセージを紹介する。この言葉の中に、地域と子ども達がつながることで生まれる可能性と未来への希望を読み取ることができる。
 「自分が住んでいる地域は良い町であってほしい。だから、未来の担い手となる中学生が多く参加してくれたことはとても嬉しい。これからも地域の活動に参加してもらって、一緒に地域を良くしていきたい。」

訪問先

岡山市立大元公民館
岡山市の中心に位置する公民館で、子育てや健康、生涯学習、まちづくりに関するものなど様々な講座を主催している。例えば、岡山市の中心部で若い世代の転出入の多い地域であるという特性を活かし、「おもちゃのリユース会」、三世代交流を目的としたもちつき大会などがある。今回は、ESDまちづくりとして、「桑田学区(出石・鹿田・大元)大自己紹介大会」という地域ワークショップを開催した。

記入者

eguni_photo_r
江國 友哉(岡山市立桑田中学校)
岡山市の中学校教員として、子どもたちの学びを広げたいと考え、ESDの視点を取り入れた教育実践に取り組んでいる。NPO・ICOI(国際協力研究所・岡山)、ESD日本ユース・コンファレンス(文部科学省主催)、社会人ユースESDレポーター(ESD活動支援センター主催)、ふくしまボランティア岡山隊、第4回岡山県環境教育ミーティング実行委員などの経験を通して、自身の活動領域の拡大と深化に努め、その経験を学校現場に還元し、教育の充実を目指している。