私は、このたびの全国フォーラムの学びとして、教育とSDGsの不可分性と、今後のESDの役割についての2点を報告したい。
教育とSDGsの不可分性について
“Education First.” 今回のフォーラムでの学びで特に印象に残った言葉のひとつである。世界中の国や地域が抱えている問題を解決するには、まず教育が大切だということだ。私自身、SDGsを少し取り違えていたことにも気付かされた。SDGsには17個の目標があり、それぞれの問題を個別に解決していこうという取り組みだと思っていた。しかし、SDGsのそれぞれの目標は、例えば、飢餓ゼロを達成するためには、気候変動への対策や平和の確保といった目標の達成も同時に必要だというように、互いに独立しているのではなく、有機的につながっているということに、気付くことができた。そして、特に教育は、SDGsの17の目標すべてと結びついており、これからの社会において、教育がいかに重要視され、期待されているかについて考えさせられた。 “One child, one teacher, one pen and one book …” あの言葉が頭をよぎった。
今後のESDの役割 ~えんたくんミーティングより~
これまでのESDの流れの中で、特に学校現場などにおいて、ESDがなかなか浸透していないという状況を感じていた人も多いように思う。そこに、SDGsという、「わかりやすい」ものが登場したため、フォーラムの参加者の中にも「ESDはもうやめて、SDGs1つに絞ったほうがいいのではないか」と考えられている方もいらっしゃった。
現在の状況を照らして考えれば、そのような考えがあっても不思議ではない。ただ、その考えにはどこか違和感があった。しかし、フォーラムの中で行われた「えんたくんミーティング」の中で、その違和感は解消され、今後のESDの役割がより一層はっきりと見えてきたのである。SDGsが持続可能な社会を達成するための目標であるならば、 ESDはSDGsで達成しようとする持続可能な社会の担い手を育てるための教育と言ってよいのではないだろうか。つまり、ESDは、Education for SDGsと考えることができ、もしかすると、ESDGsという言葉に生まれ変わるかもしれないと思うのである。
今回のフォーラムで最も印象に残った言葉がある。“There is no global solution without local action”だ。
1人の人間が1本の木を植えても森はできない。しかし、多くの人が自分のできる範囲で、地元や地域のつながりを通して、木を植えていけば、やがて一つの大きな森になるだろう。
だから、まずは自分の職場やNPOの活動を活かして、地元での草の根活動を大切にし、ESDの森を育てるべく行動していきたい。