「環境への配慮と復興:東日本大震災の経験を踏まえたウクライナ復興の方向性」
ウクライナの戦災からの復興は、現在世界の最も重要な関心事の1つであり、緊急性の高い課題でもあります。日本GIFは5月に、東日本大震災からの復興枠組みをウクライナ復興に生かすための方策についてのセミナーを開催し、ご好評をいただきました。今回のセミナーでは、東日本大震災からの復興における環境アセスメントの実務に焦点を当て、ウクライナ復興に対する日本の経験からの貢献を図ります。東日本大震災発生当時に環境アセスメント関連業務を担当された、元環境省環境影響評価課長の上杉哲郎氏(株式会社日比谷アメニス取締役)を講師にお迎えします。
5月のセミナーのテーマでもあった、「迅速かつ質の高い復興(quick and quality recovery)」実現のために、関係当局には柔軟な対応が求められます。しかし、特に環境への影響について、環境当局が「とりあえず目を瞑る」的な対応を進めることは、長期的な問題を引き起こしかねません。
2011年3月の東日本大震災発生直後から環境省は経済産業省や国土交通省との協議を進め、環境影響評価法の運用に関し、4月に、まずは電力インフラ復旧・増強への道筋を整えました。また、土地区画整理事業について、国土交通省との連名による「技術的助言」という形で、実際にまちづくりを担う自治体等に方針を示しました。さらに、鉄道等に関して環境アセスメント手続きの特例法を定めました。その後の電力不足に対応するため、再生可能エネルギー利用促進のための審査の迅速化も実施しました。こうした施策の検討過程での問題点の洗い出しや議論の内容は、同様な実務が必要とされるウクライナ復興にとって、貴重な情報を含んでいます。
今回のセミナーでは、講師の上杉氏に東日本大震災当時のインフラ復興と環境アセスメントの実際についてのプレゼンテーションをお願いした後、日本GIFの中山幹康専務理事(東京大学名誉教授)が上杉氏にインタビューする形式で、ウクライナへの提言についてお伺いいたします。その後、セミナー参加者との質疑応答の時間を設けます。
日本GIFのオンラインセミナーは、講師と参加者との質疑応答の時間を長めに取っております。前回に引き続き、ウクライナ戦争とウクライナの復興、災害復興政策、東日本大震災の復興、ウクライナへの日本の国際貢献等に関心をお持ちの方のご参加をお待ちしております。
1981 年、環境庁入庁。環境庁/環境省では、国立公園管理官(阿寒、白山)、国立公園計画、世界自然遺産、生物多様性保全、外来生物対策、環境基本法・環境基本計画,環境アセスメントなどに携わる。国土交通庁出向(全国総合開発計画)、長崎県出向(自然保護課長)、宮内庁出向(庭園課長)も経験。国立公園課長、環境影響評価課長を経て、2016 年 6 月、関東地方環境事務所長を退職。2016 年 9 月、㈱日比谷アメニスに再就職。現在、取締役環境緑花研究室長。環境アセスメント学会常務理事、日本造園学会会員、(一社)街路樹診断協会会長。
公益財団法人日本グローバル・インフラストラクチャー研究財団
〒105-7105 東京都港区東新橋1丁目5番2号 汐留シティセンター5階
℡ 03-4567-6267